庄野の太宰もどき問題がまだ私の中でモヤモヤしているうちに読み始めたとこで庄野がけっこう登場してくるのでへえ~となって、しかし、この世代のひとたちって私生活で無茶やってそれをそのまま書くのがブンガクってほんとに思ってたんだろうか。ただ書いただけじゃなくて、文章修行の上でのこととはわかるけど、ネタのためにわざわざややこしい恋愛するとかどうなの。庄野は、早いとこ、婚外恋愛路線から、郊外の平和な家庭生活路線に移って、しかも長生きしてよかったよねえ。思うに、最初に郊外に引っ越ししたのが大成功だったよね。
そして、この本自体もすごい。追い続けていると事実の方から近づいてくること、「漂流記」で感じたことをここでも。あと、評価をさしはさまないで書いてくれている抑制を感じて、ただわかった事実だけを差し出してくれているのがありがたい。
でも電報や紙片はきっと自作自演に違いないし、この夫婦は気が知れないどっちもどっちで、マヤさんがとにかくお気の毒。
ちなみに、小島信夫もちょっと出てきたので、前から読もうと思ってた小島信夫を私はとうとう読み始めたけど、これがまた、さっぱりわからないんだ小島信夫…。意味がというより、よさが…。