弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

壇蜜「泣くなら、ひとり」

作家の日記がもっと読みたい!と思ってしかしちょっと違うだろうと思いつつのコレ…。で、私は、益田ミリとか角田光代みたいな自虐卑下系の女性エッセイはイヤなんだけど世の中にそういう需要が強いのかそういうのって本当に多くて、これもやっぱりそれ系でした。

泣くなら、ひとり 壇蜜日記3 (文春文庫 た 92-3)

判例時報2325号 面会交流と親権者指定

・東京高裁平成29年1月26日判決

例の面会100日で親権者父判決の控訴審判決です。親権者母とし、母による連れ出し別居は親権者指定の障害とはならないと。

曽野綾子「私日記8 人生はすべてを使いきる 悪い運もいい運も」

曽野綾子はかなり昔は小説をそれなりに読んでたもののこのごろはよくトンデモ発言が取り上げられ叩かれてるのを見てなんとなくわざわざ読む人じゃない感じでいたけど、たまたま書店で見かけて、日記ならおもしろいかもと(作家の日記が好きなので)手を出してみたらけっこうよかったのでした。kindleでは出てなくて、わざわざ紙の本で買ってとんでもない暴論ばかりで読むに耐えなかったらイヤだと思って、超珍しく図書館で借りて、しかし読みながら気に入ってしまったので、図書館の蔵書になかった日記最新刊ほか数点を、読みつつもはや注文してしまう。

問題発言にしても、実際ヒドイことも言ってるのはたしかだけど、これが仮に、思ってても言うもんじゃないとか、言い方が悪いとかの非難であれば、そんなのは問題にならない、本人がそう思ったから書いたり言ったりしただけのことで、傷つく人への配慮なんかは受け止める側の問題であったり、実際に傷ついた人でない周囲が非難することでもない…のかも? とはいえ、なんだってこの人はこんななんだ!と、読みながら思うところもやっぱりある。しかしそうはいっても個人的には、毀誉褒貶はあってこその実践としてこころづよいし、さらにごく個人的には、今のことではないけど近いうちに直面するかもで今のうちから態度を決めかねているとある問題について、そうなれば結局は運命として受け入れることになるのだ、我が道でよいのだ、と割り切る構えを持つ助けになったのでした。

アフリカの口唇口蓋裂患者の支援活動について書かれている流れで、「神の汚れた手」に触れた部分があって、本人的には、そういえば昔に口唇口蓋裂のことを題材にしてたわ…という感じなのね。昔に題材にした口唇口蓋裂の支援をいましているのが運命かも、というニュアンスのことが書いてあって、そんなの読んでる側からすれば曾野綾子で口唇口蓋裂と言ったら「神の汚れた手」が即時に浮かぶから関係あるに決まってると思うんだけど、本人の中ではそこまで自明ではないらしいことに驚き。

私日記〈8〉人生はすべてを使いきる―悪い運もいい運も (私日記 8)

山中伸弥ほか「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」

このひとたちの話がおもしろくないわけはないので読む価値はあるのですが、しかし読んでもやっぱり、どなたも最初から何者かではあったと思えてしまうのでタイトルには偽りがあるような。永田氏は理系の論理と文学をあわせもっていろいろ語れる方だとあらためて。

僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)