弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報2388号 面会交流

札幌高裁平成30年2月13日決定

子(12歳、9歳)と申立人父との面会交流について、調査官調査で子らが面会に拒否的で、試行面会も実施できなかったが2ヶ月に1回程度の面会を認めた原審判を取り消し、申立を却下した高裁決定です。父は、母が生活費のために預金を引き出したことについて警察に通報したり、母と銀行と市に訴訟提起したりしています。当事者間の紛争の実情から面会交流を実施できるだけの信頼関係と協力関係が形成されているとは言いがたいと。

金融法務事情2104号 信託と遺留分

東京地裁平成30年9月12日判決

子との信託契約について、経済的利益の分配が想定されない不動産(自宅等)の信託は遺留分制度を潜脱する意図で信託契約を利用したもので公序良俗に反して無効とし(このほか賃貸住宅などの有効部分はある)、遺留分減殺請求の対象が信託財産か受益権かについては受益権とした地裁判決です。

金融法務事情2103号 相続法改正、買収防衛

・「改正相続法の要点」

自筆証書遺言の目録への書目押印「毎葉」→裏でもよい。など細かいところへの言及。

・東京高裁平成30年5月9日判決

元代表取締役(買収により解任)が買収防衛のために支出した弁護士費用について、自己保身で善管注意義務違反とする損害賠償請求について、これを認容した原判決を取り消して請求棄却した高裁判決です。

自由と正義2018年12月号 相続法改正

特集 民法(相続法)改正について

相続法改正の背景、立法経緯等

遺産分割手続に関する改正(持戻し免除の推定、仮払い制度等)

遺留分についての改正

配偶者居住権、自筆証書遺言その他の改正

家庭の法と裁判17号 面会交流の間接強制、扶養料、再婚と養育費減額の始期

・大阪高裁平成30年3月22日決定

面会交流の間接強制で、1回5万円とした原決定を変更し1回20万円とした高裁決定です。母(監護親)は面会交流を一貫として拒否。原決定で5万円とされた後は2回程度面会に応じている。母は歯科医師で年収約476万円、父→母の婚姻費用は月額21万円。

・大阪高裁平成29年12月15日決定

申立人(子。私立大学医学部)から相手方(父)に対する養育費では学費に不足とする扶養料請求について。原審は6年間で407万円の負担。抗告審は6年間で880万円の負担。全体の費用の把握、父母での按分方法、控除する養育費額で判断が分かれています。父は医師・薬剤師の一家、母は実家が医師、自身は薬剤師。

・広島高裁平成29年3月31日決定

二男から長男、三男に対する母の扶養料、亡父に対する過去の扶養料の求償の請求について。原審は当事者の収入で按分。抗告審は、必要の範囲+余力の範囲内として、当事者の配偶者の視力も考慮して余力を認定。

・東京高裁平成28年12月6日決定

母の再婚+相手との養子縁組による養育費の免除の始期について、申立時とした原審判を変更し、別件調停で養育費の支払義務がないと主張し支払いを打ち切ったときとした高裁決定です。