弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

末盛千枝子「私を受け容れて生きる 父と母の娘」、美智子「橋をかける」

人から勧められて。こういうのを勧めてくれることってほんとうにすばらしいなあ!ってことも含めてとにかくすばらしいです。乱暴にたとえるなら須賀敦子をさらに凝縮したような味わいのある文章と人生。そして美智子さま。根っこと翼、そして橋。弟橘の物語……

辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」

淡々とした筆致がかえって胸に迫る、収容所の過酷な日々、戻れなかった人々の無念さ、遺書や詩が残されたことの尊さ。

判例タイムズ1451号 家事審判事項

大阪高裁平成29年11月29日決定 子の母から祖母(母の母)に対して子の引渡を求める申立につき、子の監護に関する事項に準じるとした高裁決定(申立を認容した原審判を維持)です。祖父母からの申立についても射程が及びうるのか?

家庭の法と裁判16号 保護命令

特集:DV事件の実情 東京地裁と大阪地裁の保護命令の受理件数、認容率を見比べると西高東低を感じます。全国の地裁別の数字がどこかにないでしょうか。ほんとに全体的にも西高東低がいえるのか、それはどうしてなのか(考える仮説はあるがうかつには言えな…

ジュリスト1524号 IT化

福田剛久、笠井正俊「裁判手続等のIT化をめぐって」 電話会議システムってほんとにあと何年かでNTTのサービス提供終了で使えなくなっちゃうのでしょうか。

齋藤陽道「異なり記念日」

手と目で「看る」。まなざしの力。

小島慶子「大黒柱マザー」

自縄自縛する固定観念に自ら気づいて外すことの意味。そのときその場での最善の選択。

伊藤詩織「ブラックボックス」

二弁フロンティア2018年10月号 成年後見

「成年後見実務の運用と諸問題」 死後事務、永代供養、報酬支払いのための預貯金払戻許可(相続財産の保存に必要な行為該当性)、相続人による閲覧謄写への対応、など。

アトゥール・ガワンデ「死すべき定め-死にゆく人に何ができるか」

年末くらいから、読みさしては間をあけてまた最初から読むということを3度くらい繰り返してようやく読了。読みすすめられないのにはわけがあったのですが、そのわけのこともまあどうにかすぎたので…。こういうのは、自分も周りも元気なときにこそ読んで貯め…

判例時報2375・2376号 DV支援措置

大阪高裁平成30年1月26日判決 DV加害者とされる者の代理人弁護士からの戸籍附票請求を拒否した市長の処分について、代理人弁護士が原告となって処分取消を求めた訴訟で、請求を認容した原判決を取り消して請求を棄却した高裁判決です。事案によっては…

俵万智「牧水の恋」

歌人って…残された歌をみれば我ながら考えればわかりそうなものとは思いつつも、こんなにも自分の色恋をリアルタイムに歌として雑誌に発表してるのがまず驚き。プライベート筒抜けじゃないですか。相手の身にもなってくれ。小枝子さんはそういうのどうでもよ…

中井久夫「こんなとき私はどうしてきたか」

治るとは病気の前よりよくなること プロ的エレガンス きみも大変だね。ほんとうは大丈夫なんだよ 弓は満々に引き絞って放つ 暴れるのはエネルギーがないから 疾病利得 せっかく病気をしたのだから少しはいいこともなくちゃ 「次の患者が待っているから立ち直…

判例時報2373号 私立大学と扶養料、再婚養子縁組と養育費減額

・大阪高裁平成29年12月15日決定 子(私立大学医学部)から父に対する扶養料請求についてもとの養育費(月額25万円)に加え年額150万円の追加負担とした高裁決定です。 ・札幌高裁平成30年1月30日決定 再婚+養子縁組により公正証書で定めた…

判例時報2372号 住宅ローンと財産分与、任意後見と法定後見、労災の因果関係

・東京高裁平成29年6月30日決定 元夫婦2分の1ずつ共有の不動産(連帯債務の住宅ローンあり)について、離婚後の財産分与の審判申立について、ローン残高とほぼ同額の元妻名義の預金担保があることから、預金と債務を通算して0円と評価して元妻の共有…

判例タイムズ1450号 ハーグと人身保護

最高裁平成30年3月15日判決 ハーグ実施法による返還決定に従わない場合に人身保護申立を棄却した原審を破棄して差し戻した最高裁判決です。

論究ジュリスト26号 損害論

「訴訟による権利回復のための経費と損害として認められる範囲」 弁護士費用の負担におけるone-way rule、two-way rule、no-way rule。意見書等費用、不貞の調査費用。

吾妻ひでお「失踪日記2アル中病棟」

前に失踪日記本体も読んでいたのだけどここには書いてなかったですね。おもしろくて一気読み。 ちなみに私はずっと機会飲酒の人になりたいと願ってたのですがそれがこのごろ叶いつつあり、何でもないときに家では飲まない日々となってます。カフェインを断っ…

先崎学「うつ病九段」

「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ」

堀川惠子「戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇」

「教誨師」の、「原爆供養塔」の、「死刑の基準 永山裁判が遺したもの」の、堀川惠子さんとくれば間違いはないのですが、どうもちょうど脳が弱っていたタイミングだったし、タイトルや見た感じでは読もうかと思えず、しかし必読という強いプッシュを受けて読…

ポール・タフ「私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み格差に挑む」

有能感、自律性、関係性(人とのつながり)。この3つが満たされるときに限り人は内発的動機づけを維持できる。

佐藤由美子「死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること」

「大きな器」の存在こそが自分を癒すために必要な力を引き出す。

秋山訓子「女は政治に向かないの?」

「地獄も待っているからこそやりがいあり。がんばろう」 根拠のない楽観主義、自己肯定感。 運動と政治は違う。 竹に節があるように人生にも節がある。 内面が変わることで人が動く。

南直哉「恐山 死者のいる場所」

新書だし?あまり突っ走らず万人にわかりやすく書かれている感じ。もっと小難しくわかるかわからないかキワキワの論が読みたいので次はどれを読もうかな。 そして、恐山に来たのはそういうわけだったのね。運命感じます。それがわかったのが本書の収穫。

岡田尊司「人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか」

人間関係が流動的だった学生時代にはわからなかったことですが、私にはこまごまとその人の文句を言いたいような感じを抱くお相手にあえて近づいていくという癖があるようで、そして同じ環境でもう20年くらい生きてくるとその結果として、その接近観察によ…

調停時報200号 面会交流の制限事由

・民事調停座談会 調停時報100号から30年の民事調停を振り返るという座談会。バブルとバブル崩壊、特定調停、消費者契約、建築、交通事故などなどおもしろい読み物でした。 ・家事調停座談会 同じく30年のふりかえり。 ・90頁←面会交流の制限につい…

家庭の法と裁判15号 不貞慰謝料

「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析 5・完」 これまでの概要のおさらいも。いわく… 原告は妻が夫の2.3倍。 不貞行為の相手方だけを被告とするものが9割以上。 請求額は、300万円台、500万円台、400万円台の順。 認容額は150~199万円…

判例時報2370号 特別受益

東京高裁平成29年7月6日判決 父の相続時に子が母から法定相続分を譲り受けた場合、母の相続でその譲受は特別受益にあたるとした高裁判決です(原審維持)。母には固有の遺産はなく、特別受益が遺留分算定の基礎として主張された遺留分減殺請求事件です。…

判例時報2367号 面会交流

名古屋高裁平成29年3月17日決定 前審判で定められた面会交流の禁止を求めた申立について、禁止を認めず母に立ち会わせる期間を1年延長したにとどまる原審判を変更し、面会交流を禁止とした高裁決定です。書きぶりが大胆だなあと読み進めてみると、裁判…

判例タイムズ2018年8月号 親族間の使用貸借

・「民法597条に基づく使用貸借契約の終了 ~親族間の不動産の使用貸借契約を念頭に~」 ・最高裁平成29年12月21日決定 ハーグ条約によるこの返還命令が変更された最高裁決定です(原審維持)。