弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ジェニファー・シニア「子育てのパラドックス 親になることは人生をどう変えるのか」

原題「ALL JOY AND NO FUN」。親が子に与える影響の本は多いが子が親に与える影響の本はそんなにない、と言われるとそうかも。ショッキングでシニカルな統計と、与える愛について。親になればもとの自分ではいられない、それはいかなる意味において? 考える…

ケース研究336号 調停に代わる審判

「調停に代わる審判の実情 事件類計別の考察」

判例時報2416号 グーグルマップ

東京高裁平成30年6月18日決定 グーグルマップの口コミについて人格権に基づく仮の削除請求を却下した原審への抗告を棄却した高裁決定です。受忍すべき部分と判断基準。原決定では一部の記事は削除が認められています。

ジュリスト1538号 懲戒、苦情、市民窓口

「連載 新時代の弁護士倫理 座談会 弁護士懲戒と弁護士自治」 本音とヤバイ話が飛び出してる座談会。即独支援、熱心すぎ弁護、会員サポート相談窓口、弁護士の孤立化、苦情と市民窓口、研修義務、弁護士自治のコストと強制加入と反権力、内側の脅威、理事者…

ジュリスト1537号 遺留分(相続法改正)

「連載 相続と法実務 遺留分制度と実務」

家庭の法と裁判22号 婚費養育費

「婚姻費用・養育費事件における実務上の問題 家事抗告審の最近の実務から」

堀川惠子「永山則夫 封印された鑑定記録」

あの笑顔の写真の謎、遺品の鑑定書を示すことによって環がつながれたこと。

鹿子裕文「へろへろ 雑誌ヨレヨレと宅老所よりあいの人々」

「本屋に並んでいる雑誌という雑誌を全滅させてやるぐらいの気持ちで作れ!しくじったら腹を切って死ね!腹を切って死んでも平気な顔をしてよみがえれ!そして何事もなかったようにまた雑誌を作れ!」 その意気で。

佐藤信顕「遺体と火葬のほんとうの話」

内容的にへーなのと、単なるおもしろめずらし話ではなくて信念あっての著作なのが感じられて良書でした。よい本と薦められて読んでじっさいよいとそのよさがその人に上塗りされてその人のこともますますよくなるマジカル。

金原ひとみ「アタラクシア」

このごろ読んだのは「夏物語」も「先をゆくもの達」もよかったしこれもよかったなあ。そして思い出すのは、なんだか動揺しての帰り道のあったことを、自分用メモ。 m.huffingtonpost.jp renzaburo.jp

和久田学「学校を変える いじめの科学」

・いじめを深刻化させるキーワード。シンキング・エラーとアンバランス・パワーが揃うと当事者どうしで解決できない。 ・考え方を変える、行動を変える、集団を変える・いじめ対策にも公衆衛生学的手法 ・HAHASO strategy 終章に「学校風土」とかありつつ、…

神田橋條治・白柳直子「精神科医と整体師の技術対話 いのちはモビール 心から身体から」

神田橋先生は、五本指イイコイイコとかなんなんだこの人は?と思ってましたが、本書は心理職ではない対談相手ならではのつっこみが見どころというような書評があったので読んでみました。 ・「と思っていた」が真ん中にくる。「いまにして思えば私は前からそ…

こころの科学編集部「こころの臨床を語る こころの科学対談・座談選」

・病気をきっかけに一段上の段階に持ち上げる。治すことは原状復帰ではなく成熟につなげられる。 ・関与と観察。家族は観察されることを求めていない。観察から関与に構えを変えることで目の前にいる家族が変わる。 ・家族の病理。病理は家族が新たな展開を…

神林長平「先をゆくもの達」「狐と踊れ」

神林長平「先をゆくもの達」読んだ!初神林の「膚の下」いらい「膚の下」みたいなのがずっとずっと読みたかったしかしそれ以上だこれはと興奮しながら。テッドチャンの感じも(信仰と未来視)。視野狭窄っぽい男の一人語りモードがないのがよかった。新作で…

川上未映子「夏物語」「乳と卵」

「乳と卵」をもいちど読んでからおもむろに「夏物語」。ものすごい文学、まさにそうでした。 www.sankei.com book.asahi.com books.bunshun.jp

清田隆之「よかれと思ってやったのに 男たちの失敗学入門」

東畑先生のこのツイートで読んでみた本。 清田隆之「よかれと思ってやったのに」、男性についての身につまされるような強烈な本。ところどころで専門家との対談も入っていて、特に「ハゲ」をめぐる議論のところは、外見というもののもたらす繊細な傷つきにつ…

判例時報2413・2414合併号 DV支援措置への慰謝料

・名古屋高裁平成31年1月31日判決 元妻が住民基本台帳事務における支援措置の申出を行い元夫が住民票をとれないようにして転居して面会交流を妨害したとして、元夫が元妻と県に慰謝料請求をして、一審が妻が面会交流を阻止する目的で要件なく支援措置を…

調停時報203号

・面会交流の考え方の歴史的変遷と面会交流調停の現在

ジュリスト1536号 遺言執行者

「遺言執行者の権限の明確化 改正法の意義と課題」

金融法務事情2120号 民事執行法改正

民事執行法等の改正の要点 第三者からの情報取得手続 ・登記所から不動産情報(金銭債権債務名義、強制執行不奏功、財産開示前置) ・市町村、年金機関から給与債権情報(養育費など扶養義務または人の生命身体損害賠償請求権の債務名義、強制執行不奏功、財…

家庭の法と裁判21号 成人の養育費

・大阪高裁平成30年6月21日決定 成人した大学生の婚費について、自ら扶養料の請求をすべきとした原審を変更し、15歳以上の未成年の子と同等に取り扱うとした高裁決定です。義務者が大学進学を積極的に支援してきたという事情を認定。

判例タイムズ1461号 子の引渡の間接強制、婚姻破綻

・最高裁平成31年4月26日決定 母から父に対して求めた子の引き渡しの間接強制を権利濫用とした最高裁決定です。原々決定は1日1万円の間接強制、原決定は抗告棄却でした。最高裁での逆転破棄自判。この件、もともとの子の監護者指定事件も公刊されてい…

二弁フロンティア2019年8・9月合併号 成年後見

「成年後見実務の運用と諸問題」 裁判所の杓子定規っぷり。

判例時報2407号 婚姻費用

大阪高裁平成30年7月12日決定 婚姻費用で義務者の特有財産からの果実(賃料、配当等)を収入認定した高裁決定です。

東畑開人「日本のありふれた心理療法 ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学」

東畑ワールドにはまりました。これは大スペクタクルでもない学術書。 向上心や向学心のもちかた、心理学でいう臨床って弁護士の普通の事件処理か?、それと、研究、発表との両立とかモチベーションの保ちかた、についても、読んで思うところがあり。 弁護士…

江國香織「旅ドロップ」

江國らしいオシャレでルーズで自由な感じのエッセイ集。この人にはやっぱり、ひえたバターをふんだんにたべていてほしくて、スタバ的なカフェに気後れして1人で入れないみたいな自虐系女性作家エッセイみたいなことは書いてほしくなかった(そういうのが1…

東畑開人「野の医者は笑う 心の治療とは何か?」

「居るのはつらいよ」の東畑先生をもっと読んでみようと思いつつ、この「野の医者」は単なる行ってみた試してみた式の軽薄な本かもと先入観があって、より噛みごたえがありそうな「日本のありふれた心理療法」を読み始めたら、どうも先に「野の医者」を読む…

ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

イギリスの元底辺中学校の日常がこんなにもネタの宝庫。ライトな日常エッセイみたいなものかと気軽に読んだらとんでもなかったです。ミクロは焼き鳥の肉でマクロは焼き鳥の串。

ケース研究335号 DVと面会交流

・「医学的見地からのDV被害者の状況等について」 DVと母子それぞれのPTSDについて。Kita論文を引いて、DV家庭における親子の面会交流は慎重に判断されるべきである、と。 kita論文の全文↓(購入必要) ・「スモールステップの調査について~子ど…

西野博之「居場所のちから 生きてるだけですごいんだ」

人権擁護委員だからってことで送られてきてる「人権のひろば」2019年3月号でインタビューが載っててほおっとなったので。敵じゃあない、くらいのスタンスってのは田中康雄先生もよく書かれているような。「場」論は「居るのはつらいよ」も思い出しつつ…