弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

単行本

春日武彦「病んだ家族、散乱した室内」

いつものカスガ節。 家族のグロテスクさ、家庭の中で時間が止まる作用。 視点ができると見えるようになるというだけなのか、それをつとに感じる出来事が続きました。 使命感より好奇心。論理の理解と非論理への共感。場数や人柄。うまい対処法が存在しないと…

菅野仁「友だち幻想」

ルールとフィーリング。ルールは自由を保障する。などなど、もう少ししたら子どもにも読ませたい一冊。

春日武彦「「治らない」時代の医療者心得帳 カスガ先生の答えのない悩み相談室」

そしてまた春日先生。3精神科医の平行読み継続中です。 私は月イチで地元紙の電子版にコラムを載せてもらってるんですが、深淵な中井先生や鋭い春日先生を読んでると、もう既に世の中に出ているこれらに付け加えて私などが書くべきことは何もないだろうと思…

加藤幸雄「講義録 医療事件における弁護活動の在り方について 的確な認定・判断を得るためのささやかな工夫」

裁判所の審理体制の弱体化、劣化がありはしないか!

中井久夫、山口直彦「看護のための精神医学」

名著。深淵すぎる中井先生の言葉が、春日先生を補助線として読むとよけいに腑に落ちるような感じ。 ・医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。(名言!) ・安定した看護、治療、相談は、「守秘義務をもった他人」だけができる。 ・だれ…

春日武彦「臨床の詩学」

春日先生は読んでいるとそうそうあの人もそうそうとかいろんな想念がわいてくるのが刺激的。こちらは春日先生ほど人間が練れていないので春日先生が繰り出す上手な悪口により重ね合わせた具体の人々への思いが言語化されてしまったものが自分の中でうまく消…

黒川祥子「県立!再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校」

家庭が機能しない状況の描写、おそろしいですがたしかにそうなのでしょう。それでも、希望のある物語です。

リチャード・ロイド・パリー「津波の霊たち」

出来事の描写だけで読ませる作品にはなり、実際そういうものも多いところ、本書は津波という出来事とそれにまつわる人々の具体を深めつつ、エピソードとエピソードの連関、対比の妙によって普遍・抽象に至る何かが取り出されています。 受け入れることと戦う…

三浦しをん「広辞苑をつくるひと」

いちおう読書好きってことになるのだろうだけど本自体への愛着はなくって、ハコなんて捨てる派なので申し訳ない。

佐藤雅彦「新しい分かり方」

「リーガルデザイン」と同時に買ってそのまま積んであって、そのときは格調高い?珍しいものを読みたい調子のときだったんだなあ。昼酒の友にしようと決めそういう午後を待ち、たのしく読みました。

水野祐「法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する」

たまに格調高い本を読んだという感じがします。 良い社会、豊かな社会とは。複雑な社会を複雑なまま受容する。

和田仁孝監訳「医療事故後の情報開示 患者・家族との対話のために」

読みづらいのを我慢してがんばって読んだいちばん最後に、「原文に厳格に忠実であるよりは日本語として読みやすい訳になるように努めた」とあるのを見てええ~?と思いつつ、それでもこういう分野を扱う人は読んでおくとよいでしょう。第9章のショートシナ…

石黒麻利子「医療事故に遭わない負けない諦めない」

岡田裕子「難しい依頼者と出会った法律家へ パーソナリティ障害の理解と支援」

・そのような特徴を持つ人に適切な対応をするために学ぶ。 ・知ることによって気持ちの余裕が持てる。 ・依頼者の感情的な激しさに振り回されず、その背景を吟味する思考過程、客観的、多角的に考え感情的な距離をとる、冷静に客観視。安堵感。対応力。心理…

春日武彦「援助者必携 はじめての精神科 第2版」

家にあったのをなんとなくめくってたらどーしても線を引きながら読みたくなりそのまま我が物とし、すぐもう1冊買って償いとした本書。強く勧めます。 「Ⅰ手を出す前に考えておくこと」「Ⅱかれらの苦しみ」「Ⅲわたしたちの困難」という章題からしてしびれま…

佐藤正午「鳩の撃退法」

この方、はじめて読みました。重たいものが読めない時期で(完全に抜けたと思えるので書きますが、しばらく脳の調子がわるく、ものが読めませんでした。私はこのブログを知っている人からはいろいろ読んでてすごいとか言われることがあり、それほどでも?と…

ローレン・グロフ「運命と復讐」

「オバマが愛読した恋愛小説」と聞いてつい読んでしまった、というような書評に接して私もやっぱりつい読んでしまったのですが、これはほんとに素晴らしかったです。 男と女のありかた、男は単純に信じていれば幸せな生活と女が固く守る秘密と、魅力あり注目…

クリスチャン・ザイデル「女装して、一年間暮らしてみました。」

そんなに友人が離れてったりするものなのかあ。せっかくだからもっと写真とか見てみたいと思ったのですがWEB上にも全然ないのね。

「弁護士が悩む不動産に関する法律相談」「弁護士が悩む高齢者に関する法律相談」

特に不動産の方、へーそんなことがと思うような事例の紹介が多く、読む価値あります。 そして座談会…、なんか迷走したやりとりも含めナマのまま出しすぎで、もうちょっとキレイにしないのかなあと思う部分も。 でもまあ、「家族」も含めたこれらシリーズ3冊…

ジャンナ・レヴィン「重力波は歌う」

訳の関係なのか、叙述は読みやすいとはいえない、わかりやすくも上手でも決してないのですが、我慢して読むと、「果敢で壮大な艱難辛苦の営み」「愚者の野心」のすごさがよくわかります。報われてよかったし実は騒がしいのかもしれない宇宙のことがもっとわ…

神林長平「オーバーロードの街」

有羽が神になるあたり、「膚の下」感があってぐっときました。記者の内向的モノローグとか、記者とスパイの気取った会話とかはいかにも神林な部分ではありますが、私はこういう神林っぽさはイヤなんですよ。でも「人間というのは自分がなりたいと思う人間に…

神林長平「ぼくらは都市を愛していた」

ミウの物語とカイムの物語がどうやってつながるのか、どこに連れて行かれるかわからんと思いつつ読んでたらこうなるとは! さすが神林です。 「情報震」という世界観も、緑の廃墟も、観念上の?都市の情景も美しい。

石光真人「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書」

明治維新に際し、朝敵の汚名を着せられた会津藩。降伏後、藩士は下北半島の辺地に移封され、寒さと飢えの生活を強いられた。明治三十三年の義和団事件で、その沈着な行動により世界の賞讃を得た柴五郎は、会津藩士の子であり、会津落城に自刃した祖母、母、…

岡口基一・中村真「裁判官!当職そこが知りたかったのです。」

裁判所の内部事情についてフーンとなり、やわらかく読めます。 しかし本当に勉強になるのは「裁判官はこう考える 弁護士はこう実践する 民事裁判手続」の方で、私はこちらを推します。

アビー・スミス「なんで、「あんな奴ら」の弁護ができるのか?」

無罪となった被告人から弁護人へ「あなたのために、本当によかった」 「人は、これまでに人生で行った中で最悪のもの以上の存在である」 「弁護人は、肉体、血、評判、恥、不名誉と名誉を扱うのと同様に、妻、父、母、そして子を扱っているのである」 「「あ…

未就学時期の育児書まとめ

子どもが未就学時期に読んだ育児書をふりかえってまとめてみました。 ほんとはもっと読んでいますが、それなりにお勧めできると思えるもの+kindle内でふりかえれる範囲だけです。 ここで挙げた本はぜんぶkindle版あります。育児中の読書にはkindle必携と思…

日本テレビ報道局天皇取材班「昭和最後の日 テレビ報道は何を伝えたか」

平成最後の日を前に、ということで家にあったので読みました。報道や取材のありかたをいろいろ正当化しているものの、こういうありさまがまさにマスコミの悪いところとしか思えず、共感できないままでした。時系列をなぞっているだけで深みはなく特におもし…

里見清一「見送ル」

読み途中も含めてコレ系を洋モノばかり読んできたのでたまに和モノも。 あまりエキセントリックだったり悲憤慷慨調や露悪的にすぎるものには触れたくないので冒険でしたが、これは文体が自分に酔った男調紙一重ながらそういう意味ではセーフで内容もごもっと…

Jerome Groopman MD「決められない患者たち」

「誰かをそのまま死なせてやることはとても簡単だが、誰かを救い、生きていると実感させるには努力と決意そしてスタミナがいる」 「自立性」「与益」「無危害」 「信じる者と疑う者」「最大限主義者と最小限主義者」「自然志向と技術志向」 「治療必要数」「…

中野信子「ヒトは「いじめ」をやめられない」

なぜいじめは起こるのでしょうか。なぜ人は人をいじめてしまうのでしょうか。 これは、脳科学ばかりでなく数理社会学や行動社会学などの見解も、いじめをはじめとする社会的排除行為が、ヒトが種として存続することを有利にしてきたことを示唆しています。 …