弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

単行本

東畑開人「日本のありふれた心理療法 ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学」

東畑ワールドにはまりました。これは大スペクタクルでもない学術書。 向上心や向学心のもちかた、心理学でいう臨床って弁護士の普通の事件処理か?、それと、研究、発表との両立とかモチベーションの保ちかた、についても、読んで思うところがあり。 弁護士…

江國香織「旅ドロップ」

江國らしいオシャレでルーズで自由な感じのエッセイ集。この人にはやっぱり、ひえたバターをふんだんにたべていてほしくて、スタバ的なカフェに気後れして1人で入れないみたいな自虐系女性作家エッセイみたいなことは書いてほしくなかった(そういうのが1…

東畑開人「野の医者は笑う 心の治療とは何か?」

「居るのはつらいよ」の東畑先生をもっと読んでみようと思いつつ、この「野の医者」は単なる行ってみた試してみた式の軽薄な本かもと先入観があって、より噛みごたえがありそうな「日本のありふれた心理療法」を読み始めたら、どうも先に「野の医者」を読む…

ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

イギリスの元底辺中学校の日常がこんなにもネタの宝庫。ライトな日常エッセイみたいなものかと気軽に読んだらとんでもなかったです。ミクロは焼き鳥の肉でマクロは焼き鳥の串。

西野博之「居場所のちから 生きてるだけですごいんだ」

人権擁護委員だからってことで送られてきてる「人権のひろば」2019年3月号でインタビューが載っててほおっとなったので。敵じゃあない、くらいのスタンスってのは田中康雄先生もよく書かれているような。「場」論は「居るのはつらいよ」も思い出しつつ…

京野哲也ら編著「Q&A若手弁護士からの相談 374 問」

拾い読みで、へー知らなかったがいくつかあったので勢いで通読しました。「チェックポイント」シリーズもそうですが定番の文献の紹介もあるのがよいです。

堂薗幹一郎ら編著「概説改正相続法」

このあいだ他会で改正相続法の講義の依頼があったけど結果としてお断りしてしまったのが申し訳なしですが、私は、講師が講師である必然性がなく単にお勉強の成果を披露するだけの研修、定例で何かやらなきゃいけないし若手に場数を踏ませておくかみたいな研…

春日武彦「緘黙 五百頭病院特命ファイル」

中井先生の深遠さにやられた頭直しに春日の小説に手を出してみました。春日臭すごくて、いい頭直しになりました。

中井久夫「治療文化論 精神医学的再構築の試み」

解説によれば中井先生の「全ての発想が流れ込んだ合流点」という本書。語りはやわらかいのに語られていることの難しさ、わかるようでわからなさを全体として受け止めることによって読後の意識には不可逆的な変容が生じているマジカル。 ・二次的疾病利得と正…

加藤寛+最相葉月「心のケア 阪神・淡路大震災から東北へ」

これも「居るのはつらいよ」で引かれていたのだったか。 震災後半年での緊急出版的な趣の本。 PTSDは6年で7割は回復し、治療を受けても受けなくても同様。受けることで早く回復する。治療を受けても受けなくても回復できない人が3割いる。その要因は…

三浦瑠麗「孤独の意味も、女であることの味わいも」

女性の自伝ならひとまず読んでみるというだけだったのですが…びっくりしました。amazonのレビューに同じようなことがたくさん書いてありますが、なんか嫌いと思っている人でも読んでみたらいいのでは。 (追記↓) headlines.yahoo.co.jp この記事、わ…

片山杜秀「未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命」

読めない期にあったときに「必読」と勧められてGWにやっと読んで(改元の読書としてふさわしかった)、そしてやっぱり必読です。第一次世界大戦の教訓として日本が何を得たか、そこからどうして第二次世界大戦につながったか。

江國香織「彼女たちの場合は」

ひたむき(視野がせまい)で謎の自分の感覚で突き進む系のいつもの江國です。

「ろう者のがん闘病体験談」

手話は日本語ではないとか、ろうの方が日本語を読めばわかるというわけではないとは知りませんでした。情報の入力方法が違うことで、ものごとのとらえかた自体が違うというのは説明されてみればなるほどです。

吉田修一「続横道世之介」

愛すべきダメ人間像をあじわう心地よさがあります。

ハンス・ロスリング「ファクトフルネス」

自己啓発系の本みたいに思うかもしれませんがそんなことはなくて、知のためには読んでおくべき本でした。 「悪い」と「良くなっている」は両立する。

東畑開人「居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書」

「大感動のスペクタクル学術書」ってなんのことやらですが本当にそうなのです。 氷の下にクジラがいて、クジラも含めての全体であること。

清水聡「家庭裁判所物語」

仕事として家裁に出入りすることのある人には必ず全員読んでほしい! どうしてこんな地味な装丁で、昔に出た本の復刻版みたいなどうでもいい感じなのでしょう? これはすごい本ですよ。胸をうつ愛と感動の物語が家裁にはあったのです。しかし今は? 掛け軸は…

平野啓一郎「ある男」

ライトで確実におもしろく読めるものを求めてたときに。期待どおりでした。

久保田勇夫「役人道入門 組織人のためのメソッド」

役人でも組織人でもないですが、だからこそのお勉強として。 ・鉄のような厚い面の皮とずぶとさに徹した腹の黒さ! ・ある事項を説明するときにそれに最もふさわしい表現はただ1つ。それぞれの状況において最も適切な文書はただ1つ。作文修行はこの唯一の…

東直子、穂村弘「しびれる短歌」

吉村昭「三陸海岸大津波」

保坂和志「ハレルヤ」

また猫の話、猫のことはほんと興味ない派なんだけどと思うと発売されてもすぐには手が伸びず、今ごろ読みました。しかし「ハレルヤ」の「キャウ!」のくだり、Amazonの内容紹介で「キャウ!」と鳴き声が引かれているのを、キャウがどうした、猫の鳴き声なん…

穂村弘「短歌の友人」

自虐ぶりっこみたいなエッセイと芸風がちがいます。

多和田葉子「雪の練習生」

なにこれ、なにこの本、すごい叙情! この著者ははじめて読んだけどほかのもこんな? ほかも読んでみたい。すごくよかった。 (これこそバカッぽくしか書けない感想)

ナディア・ムラド「THE LAST GIRL」

まさかと思いつつ過ごしている日常が反転すること。勇気と偶然と善意と犠牲の脱出劇。

曽野綾子「人間にとって病とは何か」

朱門さん亡き後の暮らしぶりがすこし書かれています。猫とお暮らしだそうで(また猫!) お一人になっても意気軒昂。

瀬戸内寂聴「いのち」

だいぶお弱りになったなあ、これが作品として成立していると思って?文章のゆるみ…。曽野綾子さんと比べるのも変だけどたまたま続けてよんだので、でも9歳違うとこれくらい…?

柳田国男「婚姻の話」

昭和20年前後に、日本の婚姻習俗をさぐっている本書。日本古来の、というものの言い方がいい加減なものであるということ、でも分析の観点自体には時代からの限界がある、そのあたりは解説の上野千鶴子先生が引き締めてくれています。

田村一夫「公務員が議会対応で困ったら読む本」

公務員でもなければ議会対応もしませんが、たとえば外部委員としての私に対応する事務局はどんな思考回路で?みたいな観点で読むとまたおもしろい。こんなこと公刊物で実名で書くんだ!というような赤裸々トークです。