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弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

村上春樹「騎士団長殺し」

ライトノベルかと思うような上っつらな人物像や舞台装置のこっぱずかしさを我慢しながら読んでいくと最終的には言わんとすることの核はわかるしそうだねって思うけど、読ませるための仕掛けをこんなにもちりばめなきゃだめなのかなあって思ってしまう。 でも…

藤沢数希「損する結婚儲かる離婚」

まあありていに言えばそういうことよね、ということが書いてある本です。当事者向け。弁護士は綺麗事しか言わないからこういうことを言ってくれないってあるけど、私はこれくらいはけっこう言いますけどね…。 普通の人は○○と誤解しているがこうだ、という箇…

小島信夫「靴の話/眼 小島信夫家族小説集」

保坂と庄野潤三と島尾敏雄が読めっていうのでとうとう読んでみた小島信夫のよさがまったくもって分からない我が身の悲しさよ。 視野狭窄的な文体が神林っぽい。「この世に2、3人しかいないと思ってるんじゃないの?」と妻に言われる場面なんて、ほんとそう…

江國香織「なかなか暮れない夏の夕暮れ」

何が起きるわけでもない日常の描写ですが(大竹氏の身の上には大変なことが起きますが扱いは気の毒なほど脇筋)、妙におもしろい。これ、好きです。USキッズランドなんていう読書向きでない空間で立ったり座ったりしながらこれを読んでると、読書中毒の稔…

久保利英明「久保利英明ロースクール講義 君は正義のために闘えるか?」

なんとなく読みましたがまあ別に勧めません。登場してるひとに興味があればという感じでしょうか。私は自分が個人のミニマム事務所でいくと決めているので田中早苗先生の個人事務所の勧めに励まされました。

吉田勝次「洞窟ばか」

おもしろかった!バカパワーすごい。洞窟とか謎のけもの道に入ってみたい心が満足させてもらえました。

上間陽子「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」

良書。著者の活動の良さも伝わってきます。

日弁連「法的交渉の技法と実践」

特に目新しいことは書いてなくおさらい程度に。

古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義」

「嫌われる勇気」は対話式叙述が読んでてかったるいけど、おばかな青年をばかだなあと思って脳内反論しつつ読み進めるうちに、自分でわかった気になる対話式特有の作用があって、押し付けられる主張より自ら見いだす理屈に愛着を持つ裁判官の性質をふまえた…

梯久美子「狂うひと 『死の棘』の妻・島尾ミホ」

庄野の太宰もどき問題がまだ私の中でモヤモヤしているうちに読み始めたとこで庄野がけっこう登場してくるのでへえ~となって、しかし、この世代のひとたちって私生活で無茶やってそれをそのまま書くのがブンガクってほんとに思ってたんだろうか。ただ書いた…

高中正彦「弁護士の経験学 事件処理・事務所運営・人生設計の実践知」

ちょっと古典スタイルという感もありますが、わたしが座談スタイルの読み物が好き(行間から本音が立ち上るので)ということもあってか、けっこう参考になりました! おすすめです。

保坂和志「地鳴き、小鳥みたいな」

いまは「試行錯誤に漂う」をずっと読んでて、先に読んだ「地鳴き、小鳥みたいな」はちょっとピンとこなかったんだけど、いま、三田文学の保坂特集をつまみ読みしてるとなるほどそういうふうにすごいのかと納得したり。たしかに「キース・リチャーズはすごい…

北周二ら「弁護士独立・経営の不安解消Q&A」

さすがにこっちも独立して15年にもなるので特に参考にはなりませんでした。立ち入ったことまでしっかり書いてあって若い人にはいいと思うんだけど。誰か読みたいひといたら言ってください。

庄野潤三「愛撫 静物 庄野潤三初期作品集」「絵合わせ」「インド綿の服」

長距離移動中に庄野一気読み。 え!こんなの書いてたの?とびっくり幻滅した初期作品。夫である作家が妻の一人称で、不実な夫に対する妻の気持ちを書く、しかも、「魂が抜けたようになって」という表現は、まさに、太宰治「おさん」の「たましいの、抜けたひ…

藤田宙靖「裁判と法律学」

蟻川先生が何しゃべってんのかな!という興味だけで手にした本書。しかし対談はもちろんですが本文もエキサイティングでした。 制度準拠的思考、良識、眼差し、平明さ、飾り言葉、裁判と学説、「法は単なる所与ではなく、つねに課題である。」、正義ではなく…

加藤新太郎ほか「裁判官が説く民事裁判実務の重要論点 家事・人事編」

本書の位置付け的に当然ですが、基本的で当然のことが書いてあるだけでした。唯一、不貞相手に対する慰謝料の消滅時効の起算点(不貞終了と離婚に時間差がある場合)について妙に厚く書かれています(100~104頁)。

門口正人ら「訴訟の技能」

門口本2冊。「民事裁判の要領」は連載も読んでたのでまあ特にでしたが、「訴訟の技能」、1ページ1行目から「裁判は、闘争である。」とか、中村節がたまらない。まずはすべて信じてみる、おおらかに、ピンチのときほど楽しむ。などなど。たしかに私も先日…

加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

帯の鶴見俊輔氏の評で「目がさめるほどおもしろかった。こんな本がつくれるのか? この本を読む日本人がたくさんいるのか?」とあるのが、まさにそのとおりで、とにかく日本人なら!読んで知って考えてほしい歴史です。

塩田武士「罪の声」

珍しくこういうのを。自分に酔った男調すぎたり、ソードマスターヤマトばりのムリヤリな謎解きだったり、そこまでしなくていいからというくらいの細かすぎて余白がない伏線回収だったり、という私がイヤに思うポイントはなくってよかったです。こういうタイ…

遙洋子「私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ」

著者の激しい実体験からの教訓など。

南直哉・来住英俊「禅と福音 仏教とキリスト教の対話」

急にkindleなしで数時間過ごすことになったときとっさにつかんだこれ。帯に、「輪廻や復活は本当にあるのか、三位一体は矛盾ではないか、無我ならば倫理の責任主体はどうなるのか」なんて、ぐっとくるじゃないですか! 南さんは最初っからこりゃ変わり者だな…

村木厚子、秋山訓子編「女性官僚という生き方」

必要に迫られないとそこまで跳躍できないような超高密度な働き方って現実にあるんです。それをわたしは知ったなあとつくづく思うこのごろ(ごめんなさい自慢です)。それがどんなにどんなにかって、見せてあげたいくらいだけど、言ってもそれだけじゃ伝わら…

LAZAK編「ヘイトスピーチはどこまで規制できるか」

会務の関係でいただいたので読みました。わいせつ表現規制との対比とか、なるほどって感じです。

渡辺和子「強く、しなやかに」

そういえばここには書いていないけど、「置かれた場所で咲きなさい」なども読んでました。もともとこの言葉は、ヒラリークリントンが大統領選に敗れて、オバマのもとで国務長官を務めるときに引用していたのが印象に残っています。 この方が鬱病をわずらい入…

伊藤彩子「仕事は行動がすべて」、平田静子「そういえば、いつも目の前のことだけやってきた」、大瀧純子「女、今日も仕事する」

なんと2ヶ月近く放置してしまいました! 新生児育児中も副会長激務中もそんなことなかったのにいったいどうしたのか、われながら謎です。ここを放置したからといってなにも読んでなかったわけではなくて、なにかを読むこととそれをブログにアップすることと…

服部みれい「わたしらしく働く!」

これも働く女性一代記ものですね。読んだ時期は上の3冊とはズレてました。マッチョさはないというか、編集者時代の働き方はマッチョかもだけど精神性は違うところにありそうで、不思議ちゃん系とでもいおうか。

室井佑月「息子ってヤツは」

まだ見ぬ道ですが、すっごく身につまされる箇所がいくつかありました。

村田沙耶香「コンビニ人間」

まあ普通に読みやすいブンガクじゃない?という程度に思いつつ、書評をいろいろ読んでみると、「普通」に抗う系の既存の作品と違って主人公が「普通」を内包していないことが特異というような指摘になるほどと思いました。といいつつ神林とかそういうコンセ…

髙橋大輔「漂流の島」

書評いろいろ出ていましたが、これは広く読まれてほしい! 必読書と思います。 漂流民を負う調査や探検自体の魅力もさることながら、流木で船を作ったり、米を積んだ船が漂着したりそれが芽を吹いたり!という鳥島生活での奇跡っぷりと二重写しになって、「…

高山文彦「生き抜け、その日のために-長崎の被差別部落とキリシタン」

「水平社」の副産物と思われる本書。長崎…中でも浦上。部落、キリシタン、被爆。重いテーマを3つ寄せたもので掘り下げと求心力はいまいちな感じがしつつ、うなりながら読んだのでした。 いき

蟻川恒正「尊厳と身分 憲法的思惟と「日本」という問題」

裁判例やほかの人の立場を批判するとき、相手が謙虚さを欠くという言い方をする人は、その人自身にとって謙虚さが課題(要はご同類)ってことだよなとこのごろ考えていて、あと、事件記録を見ないで判決だけ読んでする批判はどうしても限界があるって法曹で…

鈴木大介「脳が壊れた」

観察力筆力+出来事の希有な出会い。書評やamazonレビューにあるとおりで付け加えることはないんだけどとにかく読むべしです。

岸見一郎「幸せになる勇気」

ちょっと必要があってとある人の著作を続けて読み込んでるんだけど、それでつくづく思うのは、書いてる本人が怒って書いてる文章は読み手を引き込むより逆に気持ちを冷まさせるだけだっていうこと。準備書面とか、そうなりがちのことがどうしてもたびたびあ…

南和行「僕たちのカラフルな毎日」

LGBTの講演などで親不孝と言われるというエピソードがあったけど、そのあたりがきっと一番きびしいギャップなんだろう。というのは、自らが子持ちゾーンに入ってみてはじめてわかる孫パワーというのがあると私は思っていて、私は人間関係に恵まれていた…

「本林塾講演録 新時代を切り拓く弁護士」

どの方のお話しもよかったです。 「優れた弁護士になるためには、優れた弁護士になりたいと強く思って行動すること」そのことよ。 そして、「宇宙の一員」「人類の歴史が目の前で焦点を結ぶ」とか…、加藤良夫先生のご本もそうですが、つきつめて仕事をしてゆ…

伊東秀子「父の遺言 戦争は人間を狂気にする」

秀子先生からご恵贈いただきました。貴重な記録と思います。

奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の17年」

取り違え事件自体のショッキングさとは別に、一方の家庭の内情がこれまたすごくて、これ、よく世に出せたなあと思います。血を分けた親子であることの不思議さ、育てる日々の蓄積から生まれるもの、などなど…。

かとうよしお「だれもほめてくれない だから じぶんでほめる」

とある会議のあとに加藤良夫先生から出版のご案内をいただき即購入いたしました。加藤先生が詩集を?!と一瞬驚きつつも、たしかあれは平成8年最判の上告理由書だったでしょうか、とても独創的で説得力のある表現をとられていたことなど思い出しつつ、法的…

アナイス・ボルディエ「他人のふたご」

年若い乙女である当事者たちが書いてるのでブログみたいな読後感。ネットニュースあたりでサラっと読んでヘエ~と思うくらいな…ひとの人生の一大事についてこんなふうに批評みたいことするの悪い感じもしますが、それが本にするってことの意味なので…(とナ…

齋藤孝「こども孫子の兵法」

たまには、の育児もの。ネタ的に買ってみたこれですが、意外とヒットしました。見開きの右に載っている原文を親のあとから音読させ、解説はただ読んでやります。なにやらグッとくるらしくて4回も5回も続けて読まされるページがあります。園児も園児なりに…

植本一子「かなわない」

褒めてる書評を見て読んでみたのだけど…ありかたとしては別にいいんですが作品としてすぐれているとかは特に思えず。

湯澤剛「ある日突然40億円の借金を背負う」

事業を投げ出すのは簡単だし割り切ればそんなに怖いことでもないのだけれど、よくぞ投げ出さず乗り切ったですね! 好事魔多し、警告としての出来事の受け止めなどなど。「Never Never Never Give Up」「主体的に生きること、それが道を拓く」

庄野潤三「自分の羽根」

第一章に作品としての文章があって、第二章以下で素に近い文章が並ぶと、作品としての文章は素に見えて作り込まれているとわかります。題材も文章もいかにも自然体に見えてそうではないことのすごさ! 「どうせ大したことは見も、感じも出来るわけではないと…

佐藤伸行「世界最強の女帝メルケルの謎」

「待つことの天才」、「脱政治」、「できるだけ長期間、さまざまな選択肢を保つスタミナ」「時とは恵みのしたたり」「結末をイメージしてからプロセスに入る」「マキャベリストでプラグマティスト」 「ビジョン(幻覚)を見る者は病院に行け」これはメルケル…

井戸まさえ「無戸籍の日本人」

見上げた活動ですごいなあと感心し胸をうたれながら読みました。

星野博美「みんな彗星を見ていた」

一読圧倒される…とちょっと前にも別の本について書いたけど、なんかもう形容しがたい、すごい本でした。読者の目線に近いところから始まったかのようで多数の文献書簡を渉猟してとんでもない歴史のふかみに連れて行ってくれる! でもそれも書かれた歴史のか…

保坂和志「遠い触覚」

読んでぐっときた箇所に折り目をつけたら何十箇所にもなって、主には保坂自身がぐっときた文章や映像について書いてあるんだけど、そのぐっとくる感じ、持っていかれる感じはまさに保坂も私をそうさせるところなので、保坂の文章の思念の固まりがいきなり脳…

米長邦雄「人間における勝負の研究」

自分も勝負師だと思って仕事をしているのでこういう心身の整え方、縁起、などなどすべてを勝負にむけてゆく人生論にひきつけられます。

伊坂幸太郎「サブマリン」

伏線をふくらませてキレイに回収する見事さととぼけた超人の描写と悪意と救われなさとひょっとしたらの救いの気配と。いつもの上手な伊坂。

アンディ・ウィアー「火星の人」

ひさびさにSF欲が。ラノベ風味じゃなくて深遠さがあって気持ちが宇宙に持っていかれる上手なSFがもっと読みたいなあ! これはまあまあよかったけど深遠さ的にはいまいち。