弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

単行本

末盛千枝子「私を受け容れて生きる 父と母の娘」、美智子「橋をかける」

人から勧められて。こういうのを勧めてくれることってほんとうにすばらしいなあ!ってことも含めてとにかくすばらしいです。乱暴にたとえるなら須賀敦子をさらに凝縮したような味わいのある文章と人生。そして美智子さま。根っこと翼、そして橋。弟橘の物語……

辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」

淡々とした筆致がかえって胸に迫る、収容所の過酷な日々、戻れなかった人々の無念さ、遺書や詩が残されたことの尊さ。

齋藤陽道「異なり記念日」

手と目で「看る」。まなざしの力。

小島慶子「大黒柱マザー」

自縄自縛する固定観念に自ら気づいて外すことの意味。そのときその場での最善の選択。

伊藤詩織「ブラックボックス」

アトゥール・ガワンデ「死すべき定め-死にゆく人に何ができるか」

年末くらいから、読みさしては間をあけてまた最初から読むということを3度くらい繰り返してようやく読了。読みすすめられないのにはわけがあったのですが、そのわけのこともまあどうにかすぎたので…。こういうのは、自分も周りも元気なときにこそ読んで貯め…

俵万智「牧水の恋」

歌人って…残された歌をみれば我ながら考えればわかりそうなものとは思いつつも、こんなにも自分の色恋をリアルタイムに歌として雑誌に発表してるのがまず驚き。プライベート筒抜けじゃないですか。相手の身にもなってくれ。小枝子さんはそういうのどうでもよ…

中井久夫「こんなとき私はどうしてきたか」

治るとは病気の前よりよくなること プロ的エレガンス きみも大変だね。ほんとうは大丈夫なんだよ 弓は満々に引き絞って放つ 暴れるのはエネルギーがないから 疾病利得 せっかく病気をしたのだから少しはいいこともなくちゃ 「次の患者が待っているから立ち直…

吾妻ひでお「失踪日記2アル中病棟」

前に失踪日記本体も読んでいたのだけどここには書いてなかったですね。おもしろくて一気読み。 ちなみに私はずっと機会飲酒の人になりたいと願ってたのですがそれがこのごろ叶いつつあり、何でもないときに家では飲まない日々となってます。カフェインを断っ…

先崎学「うつ病九段」

「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ」

堀川惠子「戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇」

「教誨師」の、「原爆供養塔」の、「死刑の基準 永山裁判が遺したもの」の、堀川惠子さんとくれば間違いはないのですが、どうもちょうど脳が弱っていたタイミングだったし、タイトルや見た感じでは読もうかと思えず、しかし必読という強いプッシュを受けて読…

ポール・タフ「私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み格差に挑む」

有能感、自律性、関係性(人とのつながり)。この3つが満たされるときに限り人は内発的動機づけを維持できる。

佐藤由美子「死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること」

「大きな器」の存在こそが自分を癒すために必要な力を引き出す。

秋山訓子「女は政治に向かないの?」

「地獄も待っているからこそやりがいあり。がんばろう」 根拠のない楽観主義、自己肯定感。 運動と政治は違う。 竹に節があるように人生にも節がある。 内面が変わることで人が動く。

南直哉「恐山 死者のいる場所」

新書だし?あまり突っ走らず万人にわかりやすく書かれている感じ。もっと小難しくわかるかわからないかキワキワの論が読みたいので次はどれを読もうかな。 そして、恐山に来たのはそういうわけだったのね。運命感じます。それがわかったのが本書の収穫。

岡田尊司「人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか」

人間関係が流動的だった学生時代にはわからなかったことですが、私にはこまごまとその人の文句を言いたいような感じを抱くお相手にあえて近づいていくという癖があるようで、そして同じ環境でもう20年くらい生きてくるとその結果として、その接近観察によ…

浦河べてるの家「べてるの家の「当事者研究」」、「べてるの家の「非」援助論」

読まず嫌い?でもないけど射程に入っていつつ読まないでいたのがなんでなのか、もっと早く読めばよかったと思いつつ続けて一気に読みました。 「くどうくどき」「なつひさお」「たなかやすお」が特によかったです。 「たなかやすお」ってあの田中先生のこと…

斎藤惇夫「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」、佐藤さとる「だれも知らない小さな国」

このごろ本が読めないのは、子どもへの読み聞かせでHPが削られているのかもしれないという気もします。 読み聞かせに関して。 乳幼児期から人並みに読み聞かせをしてきてましたが、小学校入学とともにいいかげん自分で読めということで中断しました。しか…

南直哉、玄侑宗久「同時代禅僧対談<問い>の問答」

ここをだいぶほっといてるなと自覚はあったけど1ヶ月以上も更新しないでいたとは! いつもは日付はウソですが、心おぼえとして実際の更新日で更新しておきましょう。 ちょっと前から、読めない期、読んでもアップできない期、読める期の波があり、このごろ…

春日武彦「病んだ家族、散乱した室内」

いつものカスガ節。 家族のグロテスクさ、家庭の中で時間が止まる作用。 視点ができると見えるようになるというだけなのか、それをつとに感じる出来事が続きました。 使命感より好奇心。論理の理解と非論理への共感。場数や人柄。うまい対処法が存在しないと…

菅野仁「友だち幻想」

ルールとフィーリング。ルールは自由を保障する。などなど、もう少ししたら子どもにも読ませたい一冊。

春日武彦「「治らない」時代の医療者心得帳 カスガ先生の答えのない悩み相談室」

そしてまた春日先生。3精神科医の平行読み継続中です。 私は月イチで地元紙の電子版にコラムを載せてもらってるんですが、深淵な中井先生や鋭い春日先生を読んでると、もう既に世の中に出ているこれらに付け加えて私などが書くべきことは何もないだろうと思…

加藤幸雄「講義録 医療事件における弁護活動の在り方について 的確な認定・判断を得るためのささやかな工夫」

裁判所の審理体制の弱体化、劣化がありはしないか!

中井久夫、山口直彦「看護のための精神医学」

名著。深淵すぎる中井先生の言葉が、春日先生を補助線として読むとよけいに腑に落ちるような感じ。 ・医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。(名言!) ・安定した看護、治療、相談は、「守秘義務をもった他人」だけができる。 ・だれ…

春日武彦「臨床の詩学」

春日先生は読んでいるとそうそうあの人もそうそうとかいろんな想念がわいてくるのが刺激的。こちらは春日先生ほど人間が練れていないので春日先生が繰り出す上手な悪口により重ね合わせた具体の人々への思いが言語化されてしまったものが自分の中でうまく消…

黒川祥子「県立!再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校」

家庭が機能しない状況の描写、おそろしいですがたしかにそうなのでしょう。それでも、希望のある物語です。

リチャード・ロイド・パリー「津波の霊たち」

出来事の描写だけで読ませる作品にはなり、実際そういうものも多いところ、本書は津波という出来事とそれにまつわる人々の具体を深めつつ、エピソードとエピソードの連関、対比の妙によって普遍・抽象に至る何かが取り出されています。 受け入れることと戦う…

三浦しをん「広辞苑をつくるひと」

いちおう読書好きってことになるのだろうだけど本自体への愛着はなくって、ハコなんて捨てる派なので申し訳ない。

佐藤雅彦「新しい分かり方」

「リーガルデザイン」と同時に買ってそのまま積んであって、そのときは格調高い?珍しいものを読みたい調子のときだったんだなあ。昼酒の友にしようと決めそういう午後を待ち、たのしく読みました。

水野祐「法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する」

たまに格調高い本を読んだという感じがします。 良い社会、豊かな社会とは。複雑な社会を複雑なまま受容する。