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弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

家庭の法と裁判2017年1月号 特別縁故、祭祀承継、婚姻費用

・東京高裁平成27年2月27日決定 被相続人のいとこたち5名に合計9500万円の寄与分を認めた原審につき、いずれについても特別縁故者と認めるに足りる客観的事情の存否や程度をさらに審理すべきと差し戻した高裁決定です。 ・大阪家裁平成28年1月…

判例タイムズ1430号 寄与分、間接強制

・大阪高裁平成27年10月6日決定 家業の農業従事の寄与分を遺産総額の30%と認めた原審判を変更し、農地のみの評価額の30%とした決定例です。 ・大阪家裁平成28年2月1日決定 面会交流の間接強制(1回4万)を認めた決定。子は7歳。子が嫌がっ…

判例時報2312号 公正証書による離婚慰謝料と差押え

東京高裁平成28年1月7日決定 離婚給付等契約公正証書による債権差押について、離婚の事実を条件として条件成就執行文が必要とした原決定を取り消し、単純執行文による差押えを認めた高裁決定です。

調停時法195号 寄与分

バヒスバラン(上野)薫「遺産分割の実務~遺産分割事件の法的枠組みを理解するために」 調停委員向けなので、実務のカタいところがわかりやすくまとまっています。

藤田宙靖「裁判と法律学」

蟻川先生が何しゃべってんのかな!という興味だけで手にした本書。しかし対談はもちろんですが本文もエキサイティングでした。 制度準拠的思考、良識、眼差し、平明さ、飾り言葉、裁判と学説、「法は単なる所与ではなく、つねに課題である。」、正義ではなく…

加藤新太郎ほか「裁判官が説く民事裁判実務の重要論点 家事・人事編」

本書の位置付け的に当然ですが、基本的で当然のことが書いてあるだけでした。唯一、不貞相手に対する慰謝料の消滅時効の起算点(不貞終了と離婚に時間差がある場合)について妙に厚く書かれています(100~104頁)。

門口正人ら「訴訟の技能」

門口本2冊。「民事裁判の要領」は連載も読んでたのでまあ特にでしたが、「訴訟の技能」、1ページ1行目から「裁判は、闘争である。」とか、中村節がたまらない。まずはすべて信じてみる、おおらかに、ピンチのときほど楽しむ。などなど。たしかに私も先日…

判例時報2310号 特別縁故者、司法書士と弁護士法

・大阪高裁平成28年3月2日決定 身の回りの世話をしてきた近隣の知人と親族後見人について、特別縁故者であることを否定した原審判を変更して、各500万円を認めた高裁決定です。 ・名古屋高裁金沢支部平成27年11月25日判決 司法書士代理人がした…

判例時報2309号 専門的知見、面会と親権

・「専門的知見獲得のための工夫 座談会方式の経験から」 医療訴訟で鑑定がポシャって私的意見書を出した医師らと被告医師との座談会方式で心証を得たという事例の紹介やパネルです。 ・千葉家裁松戸支部平成28年3月29日判決 前に話題になっていたかと…

判例時報2308号 業務起因性

名古屋高裁平成28年4月21日判決 バス運転手の自殺について業務起因性を否定した原判決を取り消してこれを認めた高裁判決です。地裁も高裁も前提事実はそんなに変わらないのですが、精神的負荷の程度についての結論が違ってきています。

金融法務事情2055号 時効完成後の一部弁済と時効援用

浜松簡裁平成28年6月6日判決 時効完成後の一部弁済があっても時効援用について信義則に反しないという裁判例です。解説では債権者の対応がすごく問題であったという書きぶりですが実際これくらいはごく普通に行われている程度のことなので、一部弁済しち…

判例タイムズ1429号 養育費、不貞慰謝料と非免責債権

・東京高裁平成28年1月29日決定 義務者が自身の収入減少、相手方の収入増加を理由に申し立てた養育費減額調停中に失職し、雇用保険を受給して求職しつつも再就職できないという事情を前提に、義務者の稼働能力をセンサスによって認定した原審を取り消し…

加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

帯の鶴見俊輔氏の評で「目がさめるほどおもしろかった。こんな本がつくれるのか? この本を読む日本人がたくさんいるのか?」とあるのが、まさにそのとおりで、とにかく日本人なら!読んで知って考えてほしい歴史です。

塩田武士「罪の声」

珍しくこういうのを。自分に酔った男調すぎたり、ソードマスターヤマトばりのムリヤリな謎解きだったり、そこまでしなくていいからというくらいの細かすぎて余白がない伏線回収だったり、という私がイヤに思うポイントはなくってよかったです。こういうタイ…

遙洋子「私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ」

著者の激しい実体験からの教訓など。

ケース研究327号 ハーグ条約、子の意思、増減額

・「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)における外務省の業務」 特に、執行現場における子の利益について。回復力や適応力の促進という視点。 ・「家事調停における対話促進スキルの適合性」 参考文献リストも。 ・「家事調停に…

南直哉・来住英俊「禅と福音 仏教とキリスト教の対話」

急にkindleなしで数時間過ごすことになったときとっさにつかんだこれ。帯に、「輪廻や復活は本当にあるのか、三位一体は矛盾ではないか、無我ならば倫理の責任主体はどうなるのか」なんて、ぐっとくるじゃないですか! 南さんは最初っからこりゃ変わり者だな…

村木厚子、秋山訓子編「女性官僚という生き方」

必要に迫られないとそこまで跳躍できないような超高密度な働き方って現実にあるんです。それをわたしは知ったなあとつくづく思うこのごろ(ごめんなさい自慢です)。それがどんなにどんなにかって、見せてあげたいくらいだけど、言ってもそれだけじゃ伝わら…

LAZAK編「ヘイトスピーチはどこまで規制できるか」

会務の関係でいただいたので読みました。わいせつ表現規制との対比とか、なるほどって感じです。

金融法務事情2051号 Death Law

座談会「Death Law(デス・ロー)をめぐる金融実務の諸問題」 デス・ローなんてまとまるとかっこいいみたいですが、要は後見と相続です。 寄与について、報いることの是非とそれが消極のために泣いている無数の当事者のジレンマ! 嫁の踏んだり蹴ったり状態。…

渡辺和子「強く、しなやかに」

そういえばここには書いていないけど、「置かれた場所で咲きなさい」なども読んでました。もともとこの言葉は、ヒラリークリントンが大統領選に敗れて、オバマのもとで国務長官を務めるときに引用していたのが印象に残っています。 この方が鬱病をわずらい入…

判例タイムズ1427号 婚費減額

名古屋高裁平成28年2月19日決定 調停成立後に他女とのあいだに子が出生したことを理由とする婚姻費用減額申立につき、婚姻費用減額は不貞行為を助長追認するも同然で信義則に反するとして却下した原審判を取り消して、減額を認めた高裁決定です。

伊藤彩子「仕事は行動がすべて」、平田静子「そういえば、いつも目の前のことだけやってきた」、大瀧純子「女、今日も仕事する」

なんと2ヶ月近く放置してしまいました! 新生児育児中も副会長激務中もそんなことなかったのにいったいどうしたのか、われながら謎です。ここを放置したからといってなにも読んでなかったわけではなくて、なにかを読むこととそれをブログにアップすることと…

服部みれい「わたしらしく働く!」

これも働く女性一代記ものですね。読んだ時期は上の3冊とはズレてました。マッチョさはないというか、編集者時代の働き方はマッチョかもだけど精神性は違うところにありそうで、不思議ちゃん系とでもいおうか。

E.A.パーリー「弁護の技術と倫理 弁護の道の七燈」

先に読んだ夫が一人一冊と言って私にも買ってくれて、折り目と傍線だらけになって座右コーナー入りの本書です。いままた開いてみたらしばし読みふけってしまった。引用したいところがたくさんあるけど時間がないので、みんな読んで! あと、解説で法曹人口に…

室井佑月「息子ってヤツは」

まだ見ぬ道ですが、すっごく身につまされる箇所がいくつかありました。

村田沙耶香「コンビニ人間」

まあ普通に読みやすいブンガクじゃない?という程度に思いつつ、書評をいろいろ読んでみると、「普通」に抗う系の既存の作品と違って主人公が「普通」を内包していないことが特異というような指摘になるほどと思いました。といいつつ神林とかそういうコンセ…

論究ジュリスト2016年夏号 非訟事件

研究会 非訟事件手続法 座談会の最終回。抗告状の送付について規則がチグハグになっていることなど。

判例タイムズ1425号 介護事故

「医療・介護施設における高齢者の事故についての損害賠償請求に係る諸問題」

NBL1079号 口頭議論とか

・企業訴訟における訴訟活動(下) 説明会、ディベート型審理など。このごろ口頭議論がトピックですが、記録化、心証の引き継ぎができないこと、代理人による悪用、やっても役に立たなかった例など。調書異議をするくらいであってもいいと! この座談会を読…

髙橋大輔「漂流の島」

書評いろいろ出ていましたが、これは広く読まれてほしい! 必読書と思います。 漂流民を負う調査や探検自体の魅力もさることながら、流木で船を作ったり、米を積んだ船が漂着したりそれが芽を吹いたり!という鳥島生活での奇跡っぷりと二重写しになって、「…

高山文彦「生き抜け、その日のために-長崎の被差別部落とキリシタン」

「水平社」の副産物と思われる本書。長崎…中でも浦上。部落、キリシタン、被爆。重いテーマを3つ寄せたもので掘り下げと求心力はいまいちな感じがしつつ、うなりながら読んだのでした。 いき

蟻川恒正「尊厳と身分 憲法的思惟と「日本」という問題」

裁判例やほかの人の立場を批判するとき、相手が謙虚さを欠くという言い方をする人は、その人自身にとって謙虚さが課題(要はご同類)ってことだよなとこのごろ考えていて、あと、事件記録を見ないで判決だけ読んでする批判はどうしても限界があるって法曹で…

NBL1077号 企業訴訟

「企業訴訟における訴訟活動」 専門部の功罪、「裁判官による類型化やインプリンティングを排することを考えた訴訟活動」、ディベート型審理(口頭議論)は第一に裁判所が対象を理解することで第二に争点についての意見交換、中間命題について、回顧的判断と…

鈴木大介「脳が壊れた」

観察力筆力+出来事の希有な出会い。書評やamazonレビューにあるとおりで付け加えることはないんだけどとにかく読むべしです。

岸見一郎「幸せになる勇気」

ちょっと必要があってとある人の著作を続けて読み込んでるんだけど、それでつくづく思うのは、書いてる本人が怒って書いてる文章は読み手を引き込むより逆に気持ちを冷まさせるだけだっていうこと。準備書面とか、そうなりがちのことがどうしてもたびたびあ…

南和行「僕たちのカラフルな毎日」

LGBTの講演などで親不孝と言われるというエピソードがあったけど、そのあたりがきっと一番きびしいギャップなんだろう。というのは、自らが子持ちゾーンに入ってみてはじめてわかる孫パワーというのがあると私は思っていて、私は人間関係に恵まれていた…

家庭の法と裁判2016年6月号 面会交流、フィリピン連れ子養子、ハーグ条約

・大阪家裁平成27年3月13日審判 平成26年最判のケースの続きなのですが、法律上の父が求めた子との面会交流を却下した審判です。 ・名古屋家裁豊橋支部平成26年7月17日審判 日本国籍男性とその妻(フィリピン国籍)が妻の連れ子(フィリピン国籍…

ケース研究326号 ハーグ条約

「東京家庭裁判所における子の返還に関する事件の審理について」 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)に基づく子の返還に関する各国裁判例の紹介~DVと重大な危険に関する各国裁判例について~」

判例タイムズ1424号 子の引渡、養育費と大学学費、婚費と住宅ローン

・「執行事件についての一考察 担保権実行としての不動産競売事件と子の引渡し執行事件について」 ・大阪高裁平成27年4月22日決定 大学に進学した子の養育費について、国立大学の学費と通学費から標準算定方式で考慮済みの学費を控除し、その3分の1を…

判例時報2291号 面会交流、心裡留保・錯誤

・福岡高裁平成28年1月20日判決 面会交流不実施について元妻と代理人の責任を認めた原判決を取り消し、元夫の請求を棄却した高裁判決です。 ・さいたま地裁平成27年11月27日判決 減給への同意について、心裡留保、錯誤を否定した裁判例です。解説…

「本林塾講演録 新時代を切り拓く弁護士」

どの方のお話しもよかったです。 「優れた弁護士になるためには、優れた弁護士になりたいと強く思って行動すること」そのことよ。 そして、「宇宙の一員」「人類の歴史が目の前で焦点を結ぶ」とか…、加藤良夫先生のご本もそうですが、つきつめて仕事をしてゆ…

伊東秀子「父の遺言 戦争は人間を狂気にする」

秀子先生からご恵贈いただきました。貴重な記録と思います。

奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の17年」

取り違え事件自体のショッキングさとは別に、一方の家庭の内情がこれまたすごくて、これ、よく世に出せたなあと思います。血を分けた親子であることの不思議さ、育てる日々の蓄積から生まれるもの、などなど…。

判例タイムズ1423号 遺言・介護事故・特別養子・寄与・子の引き渡し

・「遺言能力(遺言能力の理論的検討及びその判断・審理方法)」遺言能力をめぐる事案は増えていますね。・「介護事故による損害賠償請求訴訟の裁判例概観 過失・安全配慮義務違反の判断を中心として」裁判例の概観だけで分析まではないですが、相談場面でも…

判例時報2288号 面会交流と間接強制

大阪高裁平成24年3月29日決定面会を拒む10歳児との面会につき間接強制を命じた原決定(判時のタイトルには「判決」とありますが決定ですね)を取り消して申立を却下した高裁決定です。この決定より後に最高裁平成25年3月28日決定(これも解説は…

金融法務事情2042号 所有権留保

「倒産実務における自動車の(第三者)所有権留保に係る問題点の整理と今後の課題についての一考察」平成22年最判、平成27年名古屋地裁、軽自動車、登録自動車。大阪の運用。

かとうよしお「だれもほめてくれない だから じぶんでほめる」

とある会議のあとに加藤良夫先生から出版のご案内をいただき即購入いたしました。加藤先生が詩集を?!と一瞬驚きつつも、たしかあれは平成8年最判の上告理由書だったでしょうか、とても独創的で説得力のある表現をとられていたことなど思い出しつつ、法的…

NBL1073号 カトシン新連載

読者が「これは知らなかった」という事項を毎回入れることがベストではあるがセカンドベストとして「知ってはいたが、別の意味もあることを知る」「知っていたことが当然ではないことを知る」というあたりを志向、とのこと。やはりモノローグよりも座談で弾…

調停時報193号

調停時報…存在は知りつつノーマークだったのですが、けっこうためになる内容で情報量も多いじゃないですか! ケース研究以上と思いました。民事の方も載っているし、失敗例の連載はあ~なるほどね~と感じ入りました。これは部外者は買えないのかな。ケース…