弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ケース研究345号 アメリカの養育費、家事調停

・「海外におけるODRの紹介 アメリカの州裁判所におけるODRの発展」アメリカにおける養育費の強制履行制度 2021年にChild Support Enforcement Programを通じて全米で3270億ドルの養育費が徴収され、そのうちの66%は親の給与の差押など強制…

こころの科学226号 カップルセラピー

「カップルセラピーは夫婦を危機から救えるか ゴットマンの介入プログラムの誕生とその基礎理論」関係性の家(1)友情・親密さ①愛情地図、②愛情と称賛の共有、③気持ちのシグナルに向き合う、④ポジティブなまなざしポジティブな上書き状態→失敗でさえ慈しみと優…

判例タイムズ1500号 生前払戻預金、親権監護権分属と子の引渡し

・「被相続人の生前に払い戻された預貯金を対象とする訴訟についての一試論 最近の第一審裁判例の分析」・東京高裁令和3年5月13日決定親権父、監護権母の分属ケースで面会不実施により父が子の引渡しを求めた事案。認容した原審を取り消し却下した高裁決…

判例時報2530号 いじめ裁判

講話 民事裁判実務の要諦11いじめ自殺訴訟について、自殺の予見可能性として具体的予見可能性を必要とする論文が学校側の免罪符になっていた。→自殺の予見可能性の判断は、因果関係の認定判断ではなく、過失の判断としてより規範的に法的価値判断すべき。

判例タイムズ1499号 家事調停、負担付の相続させる遺言

・「座談会 調停制度100年 調停制度の現状と課題」34頁大森弁護士「調停の訴訟化」の指摘への細矢裁判官の応答・大阪地裁令和3年9月29日判決相続させる遺言に民法1002条1項(負担付遺贈を受けた者は遺贈の目的の価額を超えない限度においての…

医療判例解説100号 診療拒否

東京地裁令和3年3月30日判決不妊治療について患者との信頼関係破壊を理由とする継続拒否について慰謝料等22万円の支払が命じられた裁判例です。

NBL1227号 ビジネスと人権

「座談会 国際通商政策の最前線(上)人権・環境編」

判例時報2526号 DV支援措置と不法行為、部活と中学校の配慮義務違反

・名古屋高裁令和3年4月22日判決 住民基本台帳事務における支援措置(閲覧制限)延長申出について要件を欠くものとして元夫への不法行為とされた高裁判決。支援措置申出についての前件判決で注意喚起されていながら延長申出をしたという特殊事情あり。慰…

東弁リブラ22号 公益通報・内部通報

・公益通報対応業務従事者の守秘義務を履行する上での留意点 ・座談会 公益通報者保護法の改正による実務対応 https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2022_10/p02-14.pdf

家庭の法と裁判40号 間接的面会

「新しい運営モデル」の下での間接交流の検討・調整における留意点について

日詰正文・吉川徹・樋端佑樹「対話から始める脱!強度行動障害」

・受信・理解のコミュニケーションに偏らず、当人からの発信・表出のコミュニケーション ・日常生活と治療・教育・療育のありかた せっかくよい本なのに関係者の刑事事件化で微妙な存在になってしまっただろうか。 note.com

こころの科学225号 病みつつ働く人の支え

「うつ・適応障害をめぐって」 認知枠組みを正誤、善悪、勝負から損得、苦楽へ 誰が悪いかという問いから、お互い苦しい、誰も得をしていない、どうすればよいか、という問いへ 「カップルセラピーは夫婦を危機から救えるか」 修復の試み。1論理的な訴えか…

飛鳥井望、神田橋條治、高木俊介、原田誠一「複雑性PTSDとは何か 四人の精神科医の座談会とエッセイ」「複雑性PTSDの臨床 心的外傷~トラウマの診断力と対応力を高めよう」

・「倒れたら泥でもつかんで立ち上がろう」神田橋先生が自分を励ますためにつくった標語。 ・根性が悪い生き方はそれなりに本人を守っている。この人は「根性が悪い」で自分を守っているなと思う。根性が悪い人は(対応が)楽。 ・言葉で傷つけるのは本人の…

NBL1223号、1224号 労働事件

「企業の一生プロジェクト 余剰人員の整理」 ・行政斡旋の解決金額中央値は15万円、労働審判は100万円、裁判和解は300万円 ・日本の労働関係事件は訴訟+審判で年間8000件(総合労働相談コーナーは年間100万件)、ドイツは33万件

2022年6~8月まとめ

○伴名錬編「新しい世界を生きるための14のSF」 ○信田さよ子「カウンセラーは何を見ているか」 ○澁谷知美、清田隆之「どうして男はそうなんだろうか会議」 ○斎藤環、内田良「いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア」 ○坂上香「プリズン・…

家庭の法と裁判39号 ステップファミリー、扶養料、婚姻費用、間接交流

・「ステップファミリーをめぐる日本的課題 子どもの権利に着目して」 stepとは「一歩」ではなく「近親を亡くした」という意味 継親子関係における支配忍従関係、関係の回避 継親子関係 並行型、代替型(スクラップビルド型) 結婚からの自由と結婚の永続と…

蟻川恒正、木庭顕、樋口陽一「憲法の土壌を培養する」

こんなに面白いと思わなかった!もちろん、読んでも幻惑されてわからないところは多数。プランBがありつつプランAを放棄しない。三層で思考する。最後は個人のそのときのストラテジー。 そして、賢い人は悪口も巧みすぎてたまらない。すねて屈折して反発+…

判例タイムズ1497号 医療集中部

東京地裁医療集中部20年を迎えて その到達点と課題2 ・出来の悪い訴状が2割。確信犯的と能力不足の2パターン ・医学的機序の立証、手技ミス、不作為の因果関係が難しい3類型 ・やってもいない人間が、どうせやってもだめだったなんて言うことは許され…

ケース研究344号 子の引渡

「東京地方裁判所における子の引渡しの強制執行事件の運用について」 ・債務者代理人弁護士に期待するふるまい ・執行官から子の意思確認はしない(すべきでない)が気持ちを尊重するための配慮。 ・奏功例、不能例。

判例タイムズ1496号 交通事故、札幌地裁審理運営モデル

「大阪地裁交通部における新たな書式を利用した審理について」 「札幌地裁審理運営モデルについて」

NBL1221号 ダイバーシティ

「企業におけるダイバーシティと障害者(2)合理的配慮の現在地と考え方」

家庭の法と裁判38号 間接強制、財産分与、子の監護者指定と海外連れ去り

例の少年法の論文は少年法がわからず読んでもわからなかろうとチェックせず。 ・大阪高裁令和3年8月2日決定 直接面会を定める調停調書に基づく間接強制の申立。1人1回4万円を命じた原決定を過酷執行にあたると取り消して却下。不実施とされる期間につ…

判例時報2516号

東京高裁令和3年10月27日判決 介護支援専門員等が入所者に介護給付申請制度の説明を怠ったとして不法行為責任を肯定(過失相殺3割)。説明義務自体を否定して棄却した原判決を変更。

判例時報2515号 逆転勝訴

広島高裁令和3年2月24日判決 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術中再破裂死亡について、原審棄却→逆転で有責とした高裁判決。術中画像が消去されていたという事情あり。 術中破裂に対して開頭手術で救命できるかのような術前説明をしたことについて説明義…

2022年3~5月まとめ

○井上荒野「あちらにいる鬼」 ○中村圭一「じつは裁判所ってこんな所なんです!」 ○中野信子、三浦瑠麗「不倫と正義」 ○伊藤比呂美、町田康「ふたつの波紋」 かみあわず、掘り下がらず、距離をとって言い合ってるだけでつまんなかった! わたしは朗読の意味は…

山本和彦編著「子の引渡手続の理論と実務」

・審判前の保全処分を債務名義として保全執行する場合の2週間の期間制限について、旧法では執行官による執行着手が求められてましたが、改正により家裁への申立が2週間以内ならよいと解されることになって(とりあえず手元では家庭の法と裁判号外76頁)…

NBL1218号 ビジネスと人権、サステナビリティ

「ビジネスと人権対応のための労務リスクの確認と実務対応」 「サステナビリティの思考と実践」 ・Socialや世間を曖昧に社会全体ととらえず、苦しんでいる個人にフォーカスする

NBL1217号 ダイバーシティ、ESG

「企業におけるダイバーシティと障害者 合理的配慮の現在地と考え方」 ・雇用分野→障害者の雇用の促進等に関する法律(促進法) ・雇用以外→障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(解消法) ・障害者の権利に関する条約 ・差別しない+合理的配慮の…

判例タイムズ1495号 医療訴訟、永代供養

・「東京地裁医療集中部20年を迎えて」 産科医療補償制度によって脳性麻痺の発生件数自体が減っているという指摘。第三者から検証されることが医療現場に緊張を生み出しているからではないかと。つまりは十分に緊張してなかったから発生していたものもある…

判例タイムズ1494号 虚偽主張の制裁

名古屋地裁令和3年10月20日判決 同一の交通事故で相互に請求しあっている件で、虚偽主張(大学の非常勤講師の収入があった→調査嘱託により虚偽と判明)をしていた当事者に、相手方の訴え提起に関する費用を除く訴訟費用全部の負担を命じ、過料の制裁を…