弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例タイムズ1206号 仮眠時間と労働時間

東京高裁平成17年7月20日判決
ビル管理会社の警備員らが、仮眠時間等が労働時間にあたるとして未払賃金、付加金の支払いを求めた事案で、原審は仮眠時間の労働時間性を肯定して一部認容したのですが、これを変更し、労働時間性を否定した判決です。
昔、この種事件に使用者側で関わったことがあります。当時は下級審で肯定例否定例ともあり、警備業界は戦々恐々といった状態で、大星ビル事件の最高裁判決(平成14年2月28日)がもうじき出るのではと言われていたころでした。
担当事件が和解で終結後はそんなに熱心に追いかけてはきませんでしたが、仮眠時間の労働時間性の問題状況は、私のイメージでは、大星ビル最判で労働時間性が肯定されて、その後の同種事案は死屍累々(←使用者側は)という感じをもっていました。
ところが判タの判例解説ではその辺の流れが触れられてなく、そもそも大星ビル最判も紹介されていません。類似先例として挙げられている下級審判決も、大星ビル最判より古いものばかりです。
ちょっとLEX/DBで検索してみた(「仮眠」*「労働時間」*平成14年以降)ところ、大星ビル最判以降の掲載裁判例はやはり、仮眠時間の労働時間性を肯定するものばかりで、本件の否定例は珍しいものに思います。
認定された具体的事情からすると、他の事案より仮眠時間が注意深く運用されているようで、労働時間性否定という結論は、これまでと同じ規範の中でのあてはめの違いとみえます。
といったことを考えてくると、この判タ解説は、最判も挙げないというところからして関連事案を辿るにも不足で、どうも食い足りないですね。