「ナルニア国物語」の人です。
この人のは、「ナルニア」以外では「神学的SF」という不思議なジャンルの「沈黙の惑星を離れて〜マラカンドラ」等「別世界物語」三部作をずいぶん前に読んでいて、この「顔を持つまで(旧題「愛はあまりにも若く」)」は読み残していたのですが、このたび「ナルニア」の映画化にあわせ改題して出版されたので読んでみました。
そもそも「ナルニア」も、こども向けの仕掛けを備えているため表面的にはわかりづらいですが、宗教色の高い「神学的ファンタジー」なわけです。
そして、「マラカンドラ」等「別世界物語」もずいぶん独特で、「ナルニア」の「神学的」部分をさらに色濃く出してきていたわけですが、この「顔を持つまで」は、クーピドーとプシケーの神話を下敷きに愛と信仰について書かれているもので、実に誰はばからずに冗長、難解です。
ただ、「C.S.ルイスが自作のうち最も愛したファンタジー」とのことなので、読者受けを気にせず書いたものとして、ルイスのエッセンスはここにこそあるのでしょう。
「別世界物語」を読んでみて、まだイケると思った方のみどうぞ、と読み手を選ぶ作品です。