弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例時報1931号 弁護士預り金の被転付適格

最高裁平成18年4月14日判決
法人の債務整理の弁護士預り金について、法人の債権者が差押命令及び転付命令を申し立てた事案。
原々審、原審とも被転付適格肯定。
最高裁は、「委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権は、当該委任事務の終了前においては、その債権額を確定することができないのであるから、民事執行法159条1項にいう券面額を有するものとはいえず、転付命令の対象となる適格を有しないものと解すべきである。」として、原決定破棄、原々決定を取り消して転付命令却下。
事案をみると、預り金は約1500万円(でどころは法人の工場売却代金等)、ここから債権者(本件相手方他1社を除外)に約400万円を支払い、残額約1100万円というもの。
弁護士の債務整理の実態からすると、この段階で預り金の債権額が未確定なのは自然な結論とみえますが、それでも原審、原々審ではそうは判断されなかったわけです。