弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例タイムズ1211号 薬剤使用方法に関する過失と救命措置に関する過失の判断手法

東京地裁平成16年4月27日判決
術後せん妄状態の患者にドルミカムを投与したところ呼吸抑制→低酸素性脳症となった事案。
主な争点として、①ドルミカムの適応外投与が注意義務違反か、②ドルミカムの投与量・方法の適否、③救命措置の適否。
①について、ドルミカムの適応は麻酔前投薬ということからすると適応外だが、適応外使用という一点で直ちに注意義務違反とはいえない。
そして、②と③については、相互に関連するので合わせて検討する、として、結論として注意義務違反を認めています。
この、合わせて検討するというところがポイントです。
適応外の薬物使用という危険性の高い処置をとるに際しては、それがもたらしうる危険に対処し得なければならず、対処能力がないならその処置は許されない。あえてその処置をとるなら対処可能としておかなければならない。そういう意味で、両争点は対応関係にあるわけです。
治療手法に関する過失と、その治療によって生じた事態への対応に関する過失と、両方を主張する場面は多いので、関連づけて論じる手法が参考になりそうです。
認定された事実を読むと、夜勤帯で、帰宅時間を超過して研修医が一人で対応していて、この研修医は経験4ヶ月弱、気道確保や人工呼吸の実践体験もない、ということで、悪夢のような夜だったろうといたましい気もします。判示も同情的です。