弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

家庭裁判月報第58巻9号 離婚訴訟の管轄

東京高裁平成17年12月9日決定
離婚調停(妻申立)中に妻が未成年者を連れて一方的に別居して(調停は取下)、別居の3ヶ月後に夫が夫の住所地の裁判所(調停と同じ)に離婚訴訟を提起したのに対し、妻が別居先の裁判所(妻及び子の住所地)への移送を求めた事案。
原審は移送を認めたのですが、高裁で取り消され、移送申立却下。
「このような事案において移送を認めることは、人訴31条を根拠として人訴7条の適用を求めるため特段の事情もないのに未成年者を実力で他の住所に伴うという事態を容認することにもなりかねず、相当でないからである。」と。
んー、どうでしょう。管轄を作出するために転居したという経緯でもないようなので、そこまでいうのは厳しいのではという気もしますが…
子供が別居先になじんできているという事情も考慮しないということです。
そうすると妻としては、夫より先に自分の住所地で訴えを起こせばよかったわけで、結局は、離婚の管轄を早い者勝ちで奪い合う事態を容認するということになりますか。