弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例時報1947号 医療事件の慰謝料額

東京地裁平成18年7月26日判決
医療事故の慰謝料を、交通事故等の通常の慰謝料より高額に認定したものです。
医療事故は、交通事故と違って、患者と医師の間の契約、患者の医師に対する信頼が存在し、患者にとっては損害発生自体の精神的苦痛のほか信頼を裏切られたことによる精神的苦痛も生じることから、医療事故の慰謝料額は交通事故等より高額になる場合もあり得ると。同旨の原告の主張に応じたものです。
原告の請求した慰謝料額は、本人の死亡慰謝料3000万円、夫、子、実母の固有の慰謝料各2500万円。これに対し、慰謝料の総額を2700万円とし、内訳は夫、子、実母に各900万円とされました(本人分が0みたいですが、ちょっとここの意味はよくわかりません)。交通事故等の通常の慰謝料総額より300万円程度上回るものとしています。
本件では、カルテを隠す、改ざんする、説明を拒む、虚偽の経過を主張する等の悪質性をあらわす事情は無く、提訴前から相当額の和解金の提案をしていたようです。
個人的には、何でもかんでも交通事故の基準をあてはめることには反対で、慰謝料額は、事件類型、行為態様、故意かどうか等でもっと差をつけるべきだと思っています。とはいえ、判示の一般論に対しては、私にはちょっと違う考えがあるのですが…ここでは展開しないでおきます。
ちなみに、やはりというべきか、藤山裁判官の判決です(明日、講演を聴きにいくので楽しみです)。