弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例時報1954号 ヘルペス脳炎

名古屋高裁平成18年1月30日判決
1ヶ月検診時の児の症状からヘルペス脳炎を疑ってアシクロビルを投与すべきであったという判断です。
因果関係も問題となるところですが、救命可能性に関する統計資料については、治療薬であるアシクロビル普及以前の症例を含むこと、アシクロビルが適切に使用された症例に限らないことを指摘して排斥し、鑑定人の消極意見も退け、「アシクロビルを投与しても効果が期待できない状態に陥っていたことを客観的に示す証拠はなかった」として因果関係を認めました。ただ、その言い回しが「アシクロビルが投与されていれば、相当程度の可能性で、後遺症を残すことなく治癒した蓋然性が認められる」というもので、ここで「相当程度の可能性」「蓋然性」というキーワードが併存しているのは、論理的に混乱があるのではないかと思い、疑問です。