弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例タイムズ1253号 有責配偶者

東京高裁平成19年2月27日判決
有責配偶者である夫からの離婚請求の棄却例です。
別居9年、同居14年。成人している長男について、四肢麻痺で妻の介護下にある事情から未成熟子と同視。妻の年齢(54歳)から離婚後の経済的自立も困難と認定。離婚により妻が極めて過酷な状況におかれるとして離婚請求を棄却すべきとしました(控訴棄却)。
長男は、介護ボランティアの助けを借りて大学を卒業し、海外旅行に出る等していたそうです。夫は、それを理由に、妻は長男の介護に専念する必要はなく、働くことができるはずで、離婚後の経済的自立も可能である、長男の事情は国の支援等により解決すべきで、夫妻の離婚問題において長男の事情を考慮すべきでないというようなことを主張しましたが、判決で否定されています。
なお、長男の四肢麻痺の原因は出産時の医療過誤で、離婚訴訟の妻側代理人が長男の代理人として病院に損害賠償を請求し、勝訴的和解をしたそうです。その和解成立の年と、夫の不貞開始の年が同年なのが気になります・・。