弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例タイムズ1254号 鑑定と判決

西岡繁靖「医事関係訴訟における鑑定等の証拠評価について」
鑑定等の評価を誤ったとして原審を破棄する最判が平成18年中に3件出ており、それら最判の紹介やカンファレンス等の新たな鑑定による下級審判決の分析です。
分析のなかで、そもそも原審の要件事実の把握に問題があるという指摘があります。つまりは、具体的な機序をどこまで要求すべきかという問題で、原審の態度は、原告に対し、過剰に具体的な機序の主張立証を求め、それを要件事実と設定した上で、その具体的な機序にあてはまらないことをとらえて過失を否定するという枠組みで、最判はそうした枠組みを否定しているという理解です。