弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

家庭裁判月報第60巻第2号 面接交渉決定2つ

東京高裁平成19年8月22日決定
父からの面接交渉申立について、年1回の面接を認めた原審を取り消し、申立を却下したものです。
子供は小学校4年、6年で、父と面接したくない意向を表明しています。母は別居以来、父に対して所在を秘匿していますが、父が母の代理人を通じて子供に送付したラジコンに位置情報確認装置が潜められていた!という出来事があったそうです。その他、父による母の居所探索行為が認定されています。そうした事情から、母側には父に対しぬぐいがたい不信感があり、そうした状況下で面接をすることが子の福祉を害するおそれが高いとされています。
さいたま家裁平成19年7月19日審判
子の親権者である母から父に対する面接交渉申立(「会いたい」ではなく「会ってやってほしい」)について、子へ宛てた手紙の送付(年3回)を命じたものです。
子供は、離婚時に2歳で、本件当時は小学校4年生。父は離婚後に再婚しています。母には、父の職場に離婚問題を持ち込んだり、父の再婚相手の実家周辺をうろつく等の行動があります。母は、離婚前の父の暴力、不貞を主張して、父に対し依然として憎しみを抱いており、母自身としては父と子の面会は望まないが、子の心情を考慮して申し立てたという主張です。こうした葛藤の強い状況での面接は必ずしも子の福祉に合致しないということで、手紙の送付が命じられています。