弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

家にきてたカード会員誌のエッセイで引かれていた

六月を綺麗な風の吹くことよ

という子規の句が目にとまって、
宮沢賢治の「疾中」になんかそんなふうなのがあったなと思ってあたってみた。

「病床」
たけにぐさに
風が吹いてゐるといふことである

たけにぐさの群落にも
風が吹いてゐるといふことである

「眼にて云ふ」
だめでせう
とまりませんな
がぶがぶ湧いてゐるですからな
ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといゝ風でせう
もう清明が近いので
あんなに青ぞらからもりあがって湧くやうに
きれいな風が来るですな
もみぢの嫩芽と毛のやうな花に
秋草のやうな波をたて
焼痕のある藺草のむしろも青いです
あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが
黒いフロックコートを召して
こんなに本気にいろいろ手あてもしていたゞけば
これで死んでもまづは文句もありません
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを云へないがひどいです
あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。

賢治のは、清明が近いというので季節は3月あたり。6月の風じゃなかった。
でも、子規のも大喀血後に作られた句らしいので、状況に通じるものがあるのかも。