弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例タイムズ1373号 専門委員

「座談会 専門委員の活用について」
鈴木先生のキャラクターに主に由来するのか?予定調和ではないやりとりが目立つ座談会でした。
鈴木先生のご発言。

座談会等をみても裁判所選任の鑑定人は中立・公正なとおっしゃるのですけれども、中立・公正さの判断基準なんてないですよね。大学病院や学会等に推薦依頼をして出てきた人が、裁判所が選任したから中立・公正だとおっしゃる方もおります。そして、私的鑑定人は中立ではないと。これはまた逆に医学会の問題でもあると思うのですけれども、そういう形式的なところではなくてやっぱり実質的なところで裁判官としてきちんと見ていくということで、先ほど言いましたような原則に戻りますけれども、説明は証拠ではないということが本当にどこまでデュープロセスとして意識してやっておられるかと、そういうことが言葉の端々に弁論準備等で現れていれば、私は信頼は得られるのではないかと思います。裁判所の中ではお忙しさの中で必ずしもそういう発想ではないかなというのが出ると、おやっという感じがあるということです。

鈴木先生が柔らかく仰っているところを勝手に敷衍すると、医療訴訟で専門委員が活用されていない要因として、代理人の抵抗が挙げられますが、デュープロセスを意識してくれる裁判官なのかどうか、弁論準備等の言葉の端々から、信頼ならないと思うから、抵抗するっていう部分がたしかにあると思いますね。
私も前に(判例タイムズ1330号 医療訴訟)、こう書いていたのを思い出しました。鈴木先生が念頭におかれている座談会での発言って、まさにこの浜発言みたいなのじゃないでしょうか。

あと、専門委員について、東京地裁浜裁判官「専門委員というのは、裁判所がお願いする専門家ですから、専門性も非常に高く、公平性に関しても間違いがない方です。」なんて言われても、業界団体の利益代表をもって任じている人物が専門委員になってる現実を前に、そんな言葉は空虚というほかないです。そんなことだから、専門委員の説明も、さらには鑑定も、裁判所はどうせ鵜呑みにするんだよねとこちらは思ってしまうわけです。せめて、「大なり小なりバイアスがかかった説明になることがないとはいえませんが、説明内容それ自体や、それに対する原被告からの指摘によって、適切に考慮していきますので心配いりません」とかくらいのリップサービスがあればまだしもなんです。バイアスがかかりうるってことの認識自体が欠落しているのではどうしようもないです。