弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

野尻千里「心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由」

39歳で心臓外科医からメーカー勤務に転身、41歳で結婚、42歳で出産(前日まで働き産後1週間で職場復帰)という自伝。ワオ、マッチョ! 私はこういうの大好物ですよ~~でも読む人を選ぶかも。オトコ社会であることを前提に、ルサンチマン風味なく現実を現実として受け入れての、3割増しで頑張るマッチョ女性の処世術…理念的には食い足りないと思うひともいるかも?

そして曰く、「産休、育休は義務ではなく権利。制度として認められた期間をフルに休む必要はありません。」そのことよそのことよ!(←池波正太郎)

私も出産前日まで法廷に立ち退院翌日に調停期日に出た、と、言ってしまえば武勇伝めきますし、やたらにそんな話をして他者にプレッシャーを与えたいわけではないのですが、でも私自身が「なんでみんな産んだらガバッと休むことありきでものをいうんだろ?別に休まなくていいんじゃない?たとえば2、3人目母であれば退院翌日から母業に即復帰なんでは?でもやっぱみんな休むからにはそれなりのわけがあるのか?」と未知の世界を前に自問自答していた産前時期、ひょっとしたハズミで耳にした先人の武勇伝的なエピソードを逐一思い出して、「いや、やれるはず、千万人といえども我ゆかん」(←?)と腹を固め、結果的にはもろもろの幸運に恵まれ、そして出産日が思ってたのと多少ズレたこともあって無茶な期日並びになっていたのを乗り切った、という次第なわけで、そんな当時に思い返していたいくつかの武勇伝的エピソードって、別に妊娠してから参考のため聞いて回ったとかではなく、ほんとなんかのハズミに耳にした程度のことで、当時はケッ武勇伝かよくらいに思っていたのが、後からこんな励みになる意味を持つとはまさか思わないことだったのです。言いわけ長い! 思うに、「やっぱ休まなきゃよね」と思うひとが無理をする必要はないし、「別に休まなくてもいけんじゃね?」とどうしても思わさる(北海道弁)ひとは、「やっぱ無理!」と思った瞬間に手じまいできる心準備だけしておいて、やれるだけやってみるべし、というわけです。

心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由