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弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

本田由紀「もじれる社会: 戦後日本型循環モデルを超えて」

もじれる社会: 戦後日本型循環モデルを超えて (ちくま新書)
「育休世代のジレンマ」を一緒に読んだ人が、そこで何度も参照されていたからと勧めてくれたのが本書。いちいちがごもっともで蒙を啓かれる思いです。
「ハイパー・メリトクラシー」「ジョブとメンバーシップ」「戦後日本型循環モデル〜教育・仕事・家族」「垂直型多様性〜水平的多様性」「適応と抵抗」「ポスト近代型能力」などの用語が、状況を読み解く軸になります。
それにしても、「現代の超克」で語られていてた、トポスとダルマという思考…与えられた場所で与えられた役割をまっとうする、という着地点…たとえば村上春樹の多崎つくるで示唆されていた…をここでも思い出したのだけど、これって、現代社会のありようから自然に流れ着く帰結にすぎないのか、問題状況の解として示されているのか、それとも、帰結でもあり解でもあるのか(それほど世界がうまく出来ていると考えていいのか?)、なんてことも思いました。

人も社会も、それらをよりよくしたいという意図を以て関わる主体が思う通りには、なかなかならない。それでも、思い通りになどならなくていいから、もっとこんな可能性もある、こんなことも「できる」ようになるはず、という切ない期待とともに、人や社会に働きかけ続ける人々が、いつもいつも存在している。(中略)そのような営みが脈々と受け継がれてきた時間の突端で、私たちは生きている。そしてそれを、さらに未来につないでゆく。(42頁)