弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

家庭の法と裁判 2015年1月号

・福岡高裁平成26年6月30日決定
養育費の減額請求で事情変更を認めなかった原審判を変更し、減額を認めた決定です。養育費月額20万円と定めた調停成立後1年2ヶ月で再婚及び養子縁組をし3年後に子をもうけた、という事情を前提に、原審判は、予期しない収入減少ならともかく自ら作り出した状況である、義務者が高額所得者である等々として事情変更を認めなかったのでした。抗告審では、算定される養育費額が17万円となることを前提に、ごくアッサリと事情変更を認めています。
東京高裁平成26年3月20日決定
同族会社の株式につき、共同相続人の分割取得とした原審判を変更し、事業を承継する相続人の単独取得とした決定です。会社法174条、中小企業承継円滑化法の趣旨を遺産分割でも考慮すべきという一般論を述べています。東京高裁決定ということもあり、同種事例では参照されることとなるでしょう。
・仙台高裁平成25年12月26日決定
有責配偶者からの離婚請求の棄却事例。妻51歳(うつ病、負債あり(子の教育資金借入残額180万、法テラス援助残額125万(!)))、夫52歳(不貞。確定審判による婚費不払で給与差押)、同居期間18年、別居期間9年、子は大学生、本件が2度目の離婚訴訟という事情です。判タ1409号にも掲載あり。
東京高裁平成25年7月3日決定
特別縁故者に対する相続財産分与申立の申立人が死亡し、相続人がなく相続財産法人が成立した場合、相続財産分与申立が終了するとした原審判を取り消し、相続財産法人が申立人の地位を承継するとした決定です。
・広島高裁平成25年5月9日判決
認知症の高齢者を養親とする養子縁組の無効確認請求について、無効とした原判決を取り消した判決です。