弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

志村ふくみ、 石牟礼道子「遺言: 対談と往復書簡」

遺言: 対談と往復書簡 (単行本)
若松映輔からの流れで手に取った一冊。

石牟礼:今日は、私、大変バカなことを言っていると思います。
志村 :とんでもない!そのバカな、とおっしゃっていることがすごいんですよ。まともなことだったら、面白くない。なにも、まともなことなんか、誰でもしゃべりますよ。私もいま、変なこと言いましたけどね(笑)、でも、ほんとにそういう話は世に満ちてますから。世間のみなさん、いろんなものをよく読まれて、ご存じですから。そうでないことを、もう、石牟礼さんじゃなきゃ言われないこと、私もそういうものに反応する、そこらへんじゃないかしら。
(104〜105頁)

保坂の「魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない」を読んでいたときのことが思い出されて、脈絡のとおった言葉などには価値はなく、意味不明と思われる思念の固まりを、どう存在させて、どう放出してゆくか、こそが問題なのではないかと、これまた意味不明ですが、そんなことをこのごろ考えております。
そして、石牟礼道子の詩「幻のえにし」の、凄さ! 引用しませんがググれば出てきちゃいますから、どうか触れてみてほしい。朗読で聞いてみたいなあ。
ツイッターには、「幻のえにし」の一節からシャガール美智子皇后の短歌、と連想が流れたことを書きましたが、それ以外にも、「ひともわれもいのちの真際」というあたりの言葉の感じから、宮澤賢治の「原体剣舞連」が思い出されてから、「幻のえにし」と「原体剣舞連」を行き来して、どちらも不吉なような暗いような、突き抜けた明るさのような、そんな連想のままにいろいろと読み散らかした連休なのです。
宮澤賢治といえば、志村ふくみの詩「天青の実」も賢治風だと思ったり。「原体剣舞連」も「天青の実」もググれば全文が出ているところがありますから見といてください。