弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1410号 裁量免責、産科医療補償、婚姻費用

東京高裁平成26年3月5日決定
破産者が悪質商法を行ったことが破産原因であること+詐害目的で資産移転行為があったこと←→破産手続開始決定後に破産管財人に協力して善行を積んだことという事情のもとで、裁量免責を認めた原決定を取り消し、免責不許可として高裁決定です。破産管財人はかろうじて免責相当、という意見でした。
・大阪地裁平成25年9月11日判決
児の後遺障害につき、カンガルーケアによる低体温のためという原告主張が排斥され請求棄却された判決。摘示された主張には、本件が産科医療補償給付の対象となったこととからめて後遺障害の発生原因を論じる主張がありますが、判決の判断部分では触れられないでいます。
東京高裁平成26年6月3日決定
婚姻費用の算定にあたり、相手方の収入に海外駐在給与(月額50万円程度、赴任期間4〜5年)を加算しなかった原審判を取り消し、これを加算して収入算定した高裁決定です。
判タは、「家庭の法と裁判」の掲載家事裁判例は、1410号で全てを拾ってきているのですが、この裁判例は判タが先に載せています。で、それと関係あるのかどうか、この東京高裁決定は解説ナシでいきなり決定文が載っているという珍しいスタイル。ちなみに、「家庭の法と裁判」と共通して掲載されている裁判例の解説をちょっと見比べてみたところ、福岡高裁決定と広島高裁決定の解説は、基本的に同文で原決定の紹介のしかたなどが部分的に違う、同族会社の遺産分割の東京高裁決定の解説は構成からして全く違う、という謎な感じです。