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弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

保坂和志「遠い触覚」

読んでぐっときた箇所に折り目をつけたら何十箇所にもなって、主には保坂自身がぐっときた文章や映像について書いてあるんだけど、そのぐっとくる感じ、持っていかれる感じはまさに保坂も私をそうさせるところなので、保坂の文章の思念の固まりがいきなり脳にくることや関係あるかなきかの連想がつぎつぎ湧いて読み進められなくなるのはぜんぶ文体として意図されたものなのだとよく分かって、いったいどうすればそうなるのか気が遠くなってしまう。この人の小説論とか小説の書き方なんて別に興味ないしと思って読んでなかったんだけど、こういう文体の秘密が書いてあるなら読んでみたい、が、私はこの人がふつうのオジサンが飲み屋でしゃべるような俗な話を始めると急にイヤになるというか、こんなふうに猫が好きだったりプロスポーツチームのファンだったりする男の人とは親密なつきあいはできないわとばっかり思ってしまうのです。普段はそういう付き合えるかどうかという観点に立つことはほとんどないのになぜか保坂が猫とプロスポーツについて書きだすとそんなことばっかり思ってしまうのはどうしてか。

遠い触覚