弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

ハードSFと叙情と哲学と信仰と! これがデビューからの全作品集というのがすごい!

そして特に、「地獄とは神の不在なり」。信仰とは神の実在ではなくその不条理さを受け入れることという本質がSF的手法によってきわめて巧みに表現されています。いるかいないかじゃなくて、いるのは前提。だってこの作品世界では、天使も地獄も見えて奇跡もあるんだから。でもその神のみわざには一定のルールがあるように見えて、不条理さを内包している、その不条理さを受け入れることが信仰なのだと。

ちょうど今読んでる本で南師(呼び方!)が「信じるというのは、何が起こるかわからない、どんなものだかわからない相手をそれでも「信じる」ということです。」「とにかく、わけがわからない予測のつかないものを信じるということです。」「わけがわかるものを信じるのは取引にすぎない。」「信じることを発動させるためには、わけのわからないものに対して身を投げなきゃいけないんです。」と仰っていて、これは仏教の話しなんだけど、それがキリスト教SFになると、こう。ルイスの別世界物語も思い出したなー。

あなたの人生の物語