弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

調停時報199号 調停技法

・中川寬道「先輩からの戒め」

味方と思ってもらう必要はないが、敵ではないと思ってもらう必要はある。

絆を作るべきではないが、信頼関係は築かなければならない。

正否の判断は棚上げして、「相手と折り合えてあなたの望みがかなえられればいいね」くらいの親身な心持ち。

・飯田邦男「今、調停委員に求められるもの 当事者理解と話の聴き方」

家事調停には司法的機能、ADRの原理、福祉的機能(幸福追求機能)。司法の一翼であるとともに当事者の幸福に関与。

夫婦喧嘩の特徴。泥沼化、過去のほじくりあい、論争のテーマが変わっていく。

感情のエスカレート。トンネルビジョン効果。行動が感情に支配される。感情の発散。

当事者のわだかまりや思いに耳を傾ける。当事者を評価・否定しない。非審判的態度は援助関係を形成する上で大切な要素。

当事者の持つ2つの不安。問題そのものの不安、手続担当者への不安。

当事者のneeds,wants,demand。

相手の話に耳を傾け、相手を理解するスキルは外的観点からではなく、内的観点から話を聞くことにある。

調停技術におけるツールは調停委員自身(価値観、考え)。

感情の反射。反射、受容、明確化。

傾聴。当事者に問題解決への動機付けを促す。聴いているということを相手に伝えることも含む。

SOLER。聴いていることを非言語的に伝える技術。Squarely,

Open,Leaning,Eye,Relaxed。

当事者主体。自主交渉援助型調停モデルに非ず。当事者を置き去りにしないこと。当事者が調停委員の持っている知識や技術を借りて自らの問題解決の主体となる。協働行為としての問題解決行為。

問題所有の原則。問題の持ち主は当事者。他人が抱え込む救助行為は非。

家族援助の8箇条(私の意訳としてのメモです→)。家族が長い間改善を試みてきたこと、家族の行動には通常何らかの意味があること、家族の立場に立つ理解がなければ決まり文句になってしまう、成功には家族の協力が必要、家族の理解受け入れが必要、最初に共感的に家族の現状を理解しなければ理解受け入れは得られない、家族にとって中心的問題でなければ家族が問題に割き得るエネルギーは限定的、家族は過去の子育てへの非難を受け、非難を怖れている。

エンパワメント。8つの原則。希望、信念、意味。