弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

中村直人、山田和彦「弁護士になったその先のこと」

紛争系の書面は誰かを説得するための書面。迫力が要る。

一気通貫性とかそういうもの」

「厳密な正確性とかそういうことよりも、迫力。」

「ドーン!ときて、「おお~!確かにそうだ!」と思わせるような説得力」

「タッタッタッタ! こうだ! 以上! っていう書面がいい」

かくありたい!

弁護士になった「その先」のこと。

家庭の法と裁判27号 事情変更、一部分割

・広島高裁令和元年11月27日決定

和解離婚後の再婚、出生、定年退職を事情変更とし、退職後は義務者の年間支出予定額を基礎収入額と見て養育費額を算出した高裁決定。和解離婚時点で定年退職は予想しえたから事情変更に当たらないとした原決定を変更。

・大阪高裁令和元年7月17日決定

一部分割(結果的に)後の残部の分割で、先の分割時の不均衡を考慮すべきか→しないで法定相続分とした高裁決定(原審判断を維持)。

・東京簡裁令和元年10月23日決定

出生届を怠り過料について、戸籍法上の正当な理由を認め過料決定を取り消したもの。DV別居中の妊娠で、認知調停→出生届というケース。

法務省における父母の離婚後の子の養育等に関する近時の取組について

家庭の法と裁判(FAMILY COURT JOURNAL)27号

判例時報2443号 養育費、脳性麻痺、相続人廃除、年金分割、法人格否認

・東京高裁令和元年8月19日決定

公正証書で定めた養育費の減額審判。住宅ローンの支払合意と不可分一体で切り離して減額できないと、これを認めた原審判を取り消して申立却下。住宅ローンの支払いに関する条項は家事審判事項ではないからと。それならこの合意の変更はどこでどのようになしうるのだろうか。

・大阪高裁平成31年4月12日判決

新生児の低血糖→ショック→脳性麻痺産婦人科医師の責任肯定。血糖値データは十分ではないが、血糖値を測定しなかったという医師の注意義務違反によって生じたものであって、「血糖値の推移の不明確を当の医師にではなく患者の不利益に帰することは条理にも反するというべきである。」

・大阪高裁令和元年8月21日決定

暴力を理由とする推定相続人廃除認容例。遺言執行者からの請求。却下した原審を変更。

・大阪高裁令和元年8月21日決定

婚姻後9年同居→35年別居して離婚でも年金分割の按分割合0.5。0.35とした原審を変更

東京地裁令和元年11月27日判決

社労士が強制執行免れる目的で設立した社労士法人について法人格否認された件。

・米村滋人「医学の不確実性と医療過誤判例」vs加藤新太郎「訴訟と科学 その実務的対応」

判例時報2442号 面会交流、未成年者の監督義務

・東京高裁令和元年8月23日決定

抗告審で子の手続代理人を選任して意思確認している件。間接交流(原審の手紙交流にメールアドレス、LINEIDの通知を追加)。子(14~19歳)の拒絶意思が強いから間接交流に。面会親(父)の対応がいまいち不適切という背景がありそう(「男なら性風俗に行くことはある」「会えなくなったら寂しくて自殺しちゃうかも、死んでほしい?」と子に述べたり)。「もとより、抗告人においては、メッセージの送信によって、より未成年者らの反感を増すことのないよう、送信頻度やその内容については十分な配慮が求められる。」「未成年者ら手続代理人において、未成年者らに本決定の内容を告知・説明する際、裁判所は、抗告人と未成年者らとの直接交流が不要と判断したわけではなく、いずれ父親である抗告人との直接交流が再開されることが望ましいと期待したものである旨適切に伝えられるべきであることをあえて付言する。」と。

横浜地裁令和元年7月26日判決

殺人を犯した少年3名の親権者の監督責任。子によって責任が分かれている。