どういう人か全く知らずに、表紙が目にとまったので手にとってカバーの折り返しをみたら、「平坦な戦場をいかにして生き延びるか」がテーマの作家とあって、あー「リバーズ・エッジ」ね、ということで読んでみました。
甘い、甘いし若いなあと思いつつ読むけど、うわっと思うほどうまいところもある。
しかしこれは私には若すぎる、なんて思いながら読み続けるとしだいに、意外にもなにか身につまされ、忘れていたことを色々思い出す感じに。
そして、この人が「平坦な戦場」をいう意味はなんとなくわかります。
でも、岡崎京子みたくは病んでいなくって、あまり病んでるのはもうきついので、これくらいが良いです。
「下らないものを手に持ち、つまらない理由で死にそうになりながら、薄汚れた川を、今も、そしてこの先も、ひたすら渡っていくのだ。」
滑稽な文脈に置かれている文章なのでここは実はまず笑うところだと思うのですが、この文章だけとりだして見るとかっこよさげなところが良いと思います。
調べたらライトノベルの人らしいので、甘さと若さはそういうことなのか。
また、どうも男性らしいのですが、男性とはまったく思えませんでした。ここまでわからなかったのは珍しい。これは男の作家だな、と思わせる特有のものをまったく出さないことができる人のようです。