弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ジュリスト1318号 破産法対談・否認権(3)

支払不能概念については考えるほどよくわからなくなってきます。
以下メモ。
・支払不能とは、現に債務不履行が起こっていることを要するか? また、弁済期の到来した債務が現在あることを要するか?
山本(和)「将来の近い時期に債務不履行になることが、現段階で確実に見通せるような状況になっている場合には、現時点で債務不履行はなくても既に支払不能になっていると考えています。」
・支払不能基準による否認は全体の1割くらいらしい
・支払停止とは典型的には手形不渡、貼り紙等であったが、手形が使われなくなっていること等から支払停止概念も今後どういうものになるのか
・新規融資に伴う担保設定の際に既存債務も含めた場合の規律?
被担保債権を「銀行取引から生ずる一切の債務」とすると既存債務も含まれてくるが、その場合にどのように否認権を行使するか。一部否認ができるのか、その場合の請求の趣旨は、否認の登記の求め方、全部否認を求めた場合の一部認容の可否。
・先順位担保が否認され、後順位担保がある場合の配当?
否認の効力が配当手続に及ぶとすればどういう理屈か、順位上昇の原則との関係。
・162条1項2号ただし書き「他の債権者を害する事実」は160条1項1号等「破産債権者を害する」と同じか?
債務超過中心か、支払不能中心か
・166条の関係で、支払不能基準の否認で支払不能から1年経った場合はどうか
・166条3項の正当性。特に罰金の弁済も否認から除外することはどうか。
・転得者否認で受益者、転得者とも主観的要件を求めることの是非。詐害取消より要件加重となることがどうか、追奪担保責任との関係でどうか
対抗要件否認の理論的説明? 否認された相手方の請求権は破産債権か財団債権か?