弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

春日武彦「臨床の詩学」

春日先生は読んでいるとそうそうあの人もそうそうとかいろんな想念がわいてくるのが刺激的。こちらは春日先生ほど人間が練れていないので春日先生が繰り出す上手な悪口により重ね合わせた具体の人々への思いが言語化されてしまったものが自分の中でうまく消化されずネガティブな感覚が残るときがあってちょっとしんどい部分もあり。それでもだいたいはうまく着地させてくれることが多くて、そこもさすがと思う。

そして平行して中井久夫先生も読んでるんだけど、こちらはときどきはシニカル、深淵すぎてよくわからないほどの毒気をごく抑制的に書いているのだろうなと感じさせるものがあります。対して、そこをかなりあけすけに書いてくる春日先生。

またさらにもうひとり別の精神科医の著書(これは読み終わってもここには書かないのだけど。自分の記憶喚起のためのメモ→)も平行して読んでて、こちらはなんと中井先生レベルのシニカルさすらなくまことに澄み切った境地で、どうしてこういう方がこの世に存在できるのだろうと、文章上だけでなく直接にご本人を存じ上げていて実際に天使のような方なのでよけいに不思議でならず。切り替えるたび食い合わせ悪いなあ!といちいち驚きつつ、それぞれの世界に自分がはまりきらないように中和するような平行読み。

臨床の詩学