弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

家庭の法と裁判18号 養育費と扶養料、監護者指定引渡、婚費減額の分割払

・大阪高裁平成30年3月15日決定

原審が養育費事件(母申立。終期を大学卒業まで+学費の支払いを求める)と扶養料請求事件(子本人申立)と2件ある抗告審で、支払いの終期を大学卒業までとし、子が20歳になったということで債務名義を扶養料に一本化した高裁決定です。

この解説書いたの誰? 「破産宣告」という懐かしの用語が。

・大阪高裁平成30年3月9日決定

協議離婚時に親権者を父と定めつつ母が監護していた子について、父がGW明けに子を戻すと虚偽の説明をして子を引き取ったまま返さなかった件で、離婚により一方が親権者であってもその時点において子の監護者に関する協議が調わない状況であれば家裁が子の監護者を指定できるとした上で、母からの子の監護者指定引渡申立を認めた高裁決定です(原審は「明らか」基準で却下)。母の監護は5年2ヶ月、父の監護は10ヶ月。

福岡高裁平成29年7月12日決定

夫から妻への減収を理由とする婚費減額申立について、夫の減収自体ではなく、妻の給与収入が生じたことを理由として婚費減額が認められ、過払い分について即時支払いは酷として月額2万円ずつ(=毎月の減額幅)の返還とした高裁決定です。そもそもこの過払い分の扱いについては家事審判の対象外とする立場、将来分への充当処理とする立場もあると。