弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

東畑開人「野の医者は笑う 心の治療とは何か?」

「居るのはつらいよ」の東畑先生をもっと読んでみようと思いつつ、この「野の医者」は単なる行ってみた試してみた式の軽薄な本かもと先入観があって、より噛みごたえがありそうな「日本のありふれた心理療法」を読み始めたら、どうも先に「野の医者」を読むべきようだったので。そしたら思ってたのとは全然違って、これも「居るのはつらいよ」のように出来事のミラクルと思索とが融合した、やはり大感動スペクタクル学術書だったのでした。

スピ系の人たちがいう、何かミラクルなものとつながっている個々人の中の何かって、要は単なる無意識で、宇宙やカミサマとつながっているわけでなくても無意識は無意識だけで十分に謎のすごい力を持っているってことでよいのはないか(人が人に話すとき、話者に応答するのは聞く者の意識だけれど、無意識も同時に話しを聞いてはいて、人がときに、それまでの経緯からは到底受け入れるとは思われないような重大かつ賢明な決断をすることがあるのも、その場面で本当に正しい行動は何かをその人の無意識は実はわかっていて、というか逆に、無意識のわかりを導くためには、その人がまさか受け入れるとは思われないような話しであっても、その人のためになることとこちらが真に思う以上は誠と理を尽くして説いてゆくべきであって、そうすることによってこその天の時、地の利、人の和が成る、ときもある!と思う。ちなみにこのことを薄めて書いたのが6月のどうしん電子版コラム)、と、このごろちょうど思っていて、そのあたりのこと(潜在意識マイナスミラクル→無意識ということ)がびったり書いてあったのでそうよね!と。

「傷ついた治療者」、「癒やす病者」
「ミイラがミイラ取りになる」
ラクル・ストーリーが治療そのもの。説明モデルの提示、病者への説得。信じているから癒やされる。
治療者の見立ては、クライエントの生き方に方向性を与える。
精神病は脳、カミダーリは霊、スピリチュアリティは心。
セラピストのドラゴンとトカゲ。
「潜在意識」か「無意識」か。
ドラゴンはオープンでテキトー。
野の医者のビジネスモデル。
相対化! ポストモダン。カッコ付きの仮説。
デタラメOK!でまかせOK!ごまかしはNG!
思い込みなんです!
何が治癒なのかが治療法によって違う。
心の治療とは、クライエントをそれぞれの治療法の価値観へと巻き込んでいく営み。
人を憎み、別れていくこともまた心の栄養。

野の医者は笑う: 心の治療とは何か?