弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

白石一文「君がいないと小説は書けない」

週刊新潮の連載小説で、ああいうのが叙述トリックというのかな、急にSFっぽくなった感じもうまいなあと思ったので新刊を読んでみました。想が発するままに流れゆく、こだわりオジサンのごにゃごにゃ語り、ちょっと保坂っぽいんじゃないでしょうか。ネコも出てくる(保坂ほど過剰に思い入れてはいないので助かる)。双眼鏡のピント、時間軸と体験、体験の再構成(ここ、テッド・チャンの「商人と錬金術師の門」に通じると思った)、体験の団子(回転体)、「人生とは自己確認のために無数の体験を反復し続ける団子のような回転体」、視点=私。

君がいないと小説は書けない