弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

斉藤倫「どろぼうのどろぼん」

ただしいとか、ただしくないとかじゃない。ただ、だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできているというだけ。そのぜんぶを、すべて一気になんとかすることはできなくて、ただじぶんの近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ。

公園というのは、なにかのためにある場所じゃない。なんの役にも立たないことが、だいじなんだ。この公園は、そういうふうにつくられている、と思った。たとえばひとが、世の中だれにも必要とされず、どこにもじぶんの場所がないように思える日に、落ちつけるところ。ほんとうに無力で、意味がなくて、それでもそこにいていいんだって、いってくれる場所。それが、公園なのかもしれない。

こんなくだりが自分も初見での読み聞かせでは、神妙な祈るような心持ち。

どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)