弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ケース研究345号 アメリカの養育費、家事調停

・「海外におけるODRの紹介 アメリカの州裁判所におけるODRの発展」
アメリカにおける養育費の強制履行制度 2021年にChild Support Enforcement Programを通じて全米で3270億ドルの養育費が徴収され、そのうちの66%は親の給与の差押など強制執行による。ミシガン州で2015年に出された養育費の支払命令は約85万件、未払額60億ドル超。45日以上の未払→召喚状、未払の理由説明、何らかの合意or逮捕状! 当事者の負担軽減、任意の支払促し、逮捕の減少、支払われる養育費増、州の負担軽減がODR導入の目的。オタワ郡で2016年にODR導入により1月あたりの逮捕状の平均発行件数は2016年143件→2018年102件…(たしかに減ってるけどそれでもこんなにという気も…。逮捕というペナルティの強さはすごいなあと思うけど、それでも未払となるのもすごい)。徴収された養育費の総額は29%増。
アメリカでは離婚の際、養育計画を裁判所に提出する。それ用のスマートフォンアプリがありチャット、習いごとや学校の送迎スケジュール調整機能、養育費のアプリ内送金機能!!!!

・秋武憲一「家庭裁判所に期待すること」
調停委員の手控えを読んでくれない裁判官、秋武裁判官が読んだ形跡を明らかにしておくべきと言ったらレ点とチェックだけはするようになった→コメントもすべきと言ったら「頑張ってください」と書くようになった。「これを笑い話にしてはいけません。」「裁判官としての職務をしていないということです。皆さんは、笑うけれども、これは実話です。残念なことです。」

・細矢郁「より質の高い調停運営を目指して」
家事調停において迅速な解決を実現していくにあたっての批判→効率化や迅速化を求めるあまり、調停運営が民事訴訟の審理に近づき、調停としての良さが失われているのではないか(家事調停の訴訟化)。たとえば、期日において適切な時間をかけて言い分や心情を傾聴することに重きを置かず、書面提出を求めて代替させてしまう、適切な時間をかけた働きかけ・調整に重きをおかず手続代理人による期日間調整に任せてしまう、審判や訴訟の見通しを強引に押しつけてしまう。傾聴、働きかけ、調整等と迅速な解決をバランスよく適切に両立させていく。
調停時間は東京家裁1時間45分、大阪家裁80分、京都家裁60分!
なんか調停委員への要求が高いというか意識が高いというか、むちゃくちゃハッパかけてきてる印象があるのですが、その手前の秋武さん講演に出てくる実話との食い合わせが悪い(調停委員にばかり要求するけど裁判官どうなの感が)。