弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

チャールズDレイクⅡ「社外取締役の兵法 グッドガバナンスの実践」

あとがきにもあるように、これは小論文集…おかたい教科書です。

持ち合わせる知見のみに頼らず、勉強、鍛錬、準備、そしてその時々で最善の戦いを。「徳」と「覚悟」とともに。

社外取締役の兵法 グッドガバナンスの実践

家庭の法と裁判25号 改正相続法、内縁と財産分与、合意の婚姻費用と事情変更、遺産分割

・「改正相続法「配偶者居住権」の実務からみた問題点」

消滅時の税務注意!

・「弁護士から見た遺産分割・遺留分と税務」

・「改正相続法施行後の状況 遺産分割前の預貯金払戻しに関わる金融実務」

福岡高裁平成30年11月19日決定

内縁の財産分与で、1:2での分与とした決定例(抗告棄却)。

・東京高裁平成30年11月16日決定

合意による婚費の請求事件。夫は、子らを連れ去ろうとして逮捕勾留されて、その告訴取り下げと引き換えに日弁連算定表を参考とした婚費で合意した婚費が月額20万円と

いう経緯。夫は逮捕勾留によって降格、減収で、合意した婚費の減額を主張。原審は、減額後の収入で標準算定表によって月額16万円。抗告審は、合意の経緯、減収可能性の認識あったことなどから事情の変更に当たらないとして月額20万円。

・「遺産分割事件のケース研究 事例検討④遺産分割事件の基本の理解」

個別論点の一般的扱い、改正前後ともに。

家庭の法と裁判(FAMILY COURT JOURNAL)25号

判例タイムズ1469号 面会交流と要件事実論、不本意であるが真意

・「面会交流事件と要件事実論に関する一考察」

面会交流の要件事実…吉川さんがそんなこと書くの?!と驚きましたが、そうではなく納得の、要件事実「論」でした。面会交流の要件事実についてではなく、面会交流事件を要件事実で論じることの是非について。

面会交流の権利性は否定するのが判例・通説という指摘。

梶村論文がいうような、家裁の運用の実態があるかないか、あったかなかったか。残されている論稿とか書かれたものを見たってわかるわけがない。そういうものはただでさえカシコイ人たちが突っ込みどころないように書いてるのだから。いっとき、きわめて野蛮で雑な原則的面会交流の調停・審判進行があった、その時代を体感した者としては、あったんだよ!だからこんな言われてるの!と、この話題になるたびに言わざるをえません。ほかの裁判官がどんな進行してるかお互いには見えないんだから、わからないでしょうけど。しかし今はそうでもない、のはたしかで、そのことに果たした梶村論文の役割は多だと思います。そして今はその反動でか、面会親から見るともどかしい進行になることが多い、でしょうか。しかしまた逆に、「歩み寄りを促す」以上に、改心、回心を迫るような折伏するような、監護親の内心への踏み込みも、見るときあります。なので過去の文句をいつまでも言っててもしかたないのではありますがそれでも、関係者は原則的面会論とその克服?の歴史に学んでほしい、そうでないとバランスのとれた運用にはならない、と思うわけです。

東京地裁平成30年5月22日判決

退職時の清算条項(不起訴合意)の効力否定、退職合意の錯誤否定、退職勧奨の不法行為否定。「不本意であるが真意」のパターン。

村上龍「MISSING 失われているもの」

精神的な強靱さはそれ自体、本来的には不健康であって、かつ、そのようになった背景には痛ましい体験や環境が、必ず、ある、しかもその来歴を自分が強靱な精神でもって自分に隠しているので、自覚ないまま生きている、精神的に強靱である本人は、その強靱さを恃みにもし、精神的に弱い者を下にも見るけれど、それはけしてギフトではなく端的に、早期の慢性的な傷のカサブタにすぎない。

だったら、現実なんてどうでもいい。

「現実には、意味がないのだ。」

MISSING 失われているもの

林真理子「綴る女 評伝宮尾登美子」

さかのぼると私が宮尾登美子読んでたの14年前。14年前…。梯久美子「狂うひと 『死の棘』の妻・島尾ミホ」みたいな発見や掘り下げまでは期待できないのですが、宮尾ワールドのファンとしては楽しく読めました。

綴る女-評伝・宮尾登美子 (単行本)