弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

家庭の法と裁判10号 不貞慰謝料、面会交流、遺産分割

・「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析(1)」 ・東京高裁平成28年5月17日決定 別居中で子を監護している妻が夫に対して求めた面会交流申立を却下した原審判を取り消して、差し戻した高裁決定です。妻は夫の勤務先に押しかけたり、子の汚物の写真を…

判例タイムス1436号 争点整理、時間外手当、高額所得者の婚姻費用

・「争点整理手続における口頭議論の活性化について」 口頭議論が活性化されていない理由が6コあげられてますが、「裁判官が記録を読み込めていない」ってはっきり書いてない(挙げられている「裁判所が十分な時間をとることができていない」って期日の所要…

判例時報2330号 養育費減額

東京高裁平成28年7月8日決定 公正証書により合意された養育費について、再婚相手との子の出生という事情変更により減額を認め、標準算定方式による金額に公正証書による合意の趣旨を反映(もともと算定表より高くなっている部分を固定額として、再婚相手…

日本弁護士連合会「日弁連研修叢書現在法律実務の諸問題 平成27年度研修版」「日弁連研修叢書現在法律実務の諸問題 平成26年度研修版」

山田知司「控訴審の審理と主張立証のあり方」(平成27年度版)と森野俊彦「最新版民事控訴審における主張と立証」(平成26年度版)を続けて読みました。 ・ 山田「控訴審の審理で争われているのは原判決ではないはずです。それに私の感覚でも、原判決が…

ケース研究329号 財産分与、対応困難者

・「財産分与に関する覚書」 東京家裁の財産分与の実務について。要チェックです。 退職金について「従前は、退職までに相当間があるような場合には分与対象とならないかのような議論があり、かつそれが有力であるような文献が散見されたが、現在の実務では…

金融法務事情2068号 弁護士受任と時効

東京地裁平成28年7月29日判決 債務整理の受任弁護士からの方針の回答が「民事再生か任意和解」というものでも、時効中断事由たる債務の承認とはならず、受任弁護士の放置による時効完成を受任弁護士自ら援用する場合でも信義則違反といえないという裁判…

判例時報2329号 未到来の養育費と仮差押

最高裁平成29年1月31日三小法廷決定 公正証書による養育費の支払期限未到来分を被保全債権として不動産に対する仮差押を却下した原審判断を是認した最高裁決定です。

高城剛「多動日記(1) 健康と平和 欧州編」

移動中に読むのにちょうど。

二弁フロンティア2017年7月号 時間外、成年後見

・残業代請求事件対応の基礎と最新実務~労働者側から~ ・東京三会合同研修会「成年後見実務の運用と諸問題」

河合隼雄「河合隼雄の幸福論」

幸福であると感じるための条件は、将来に対して希望が持てる、自分を越える存在とつながっているあるいは支えられていると感じることができるという二点。個より普遍に至る道がある。感情の火を適温に保つ。幸福は副産物。

筒井功「日本のアジールを訪ねて 漂泊民の居場所」

おおざっぱにはいわゆるサンカの系統の本ですが考察部分のサンカ批判はネチネチしているのでスルー。事実部分を興味深く読みました。

丸谷才一「笹まくら」

本当に「打ちのめされるようなすごい本」でした。 思考どおりに流れる文体と自在な回想が保坂みあり。戦中の明るさと戦後の冥さ!こまかな描写の昭和感!とにかくうまいしすごい、打ちのめされるというとおり!

ジェイムズ・P・ホーガン「創世記機械」

電気羊のあとに読んだのでよけいにやっぱりこういうのが好きだと思った。ホーガンならではの読み味の良さを指摘している人が多いけどほんとにそう。

フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」

SFはライトノベル系が地雷でしかし選ぶ眼がないので何をよんでよいかわからず、とりあえず古典を読んでみようと思っててきとうに。しかしホーガンの後には薄すぎで、書き割りの舞台の悪い夢のようというか、わたしはこういう視野狭窄モノローグ暴走系はい…

ジェイムズ・P・ホーガン「未来からのホットライン」

ろうそくのくだり…「この蝋燭は、いま全体の4分の1ほどまで燃えているが、一時間かそこら前の宇宙ではまだちゃんとしたままだ。数時間後の宇宙には、たぶん影もかたちもないだろう。総体的な蝋燭というのは、その各時点のあいだ全体なのだ。」…これって、…