弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2013-01-01から1年間の記事一覧

判例タイムズ1392号 説明義務違反

東京地裁平成25年2月7日判決 手術の事前説明が不適切だった場合、手術当日の説明は適切だったとしても、当日キャンセル料100%というシステム下では説明義務違反という判断です。

神林長平「あなたの魂に安らぎあれ」「帝王の殻」「膚の下」

kindleにて。神林長平は初めて読んだのですがちょっとはまってしまいそう… ↑が刊行順なのですが、物語中の年代は逆。しかし、何もしらずに「膚の下」を読み始め、物語の年代に沿って読み進んだのは良かったと思いました。物語の解として読む「膚の下」ではな…

吉田修一「横道世之介」

kindleにて。巧みな小説ですよね。

桜木紫乃「ホテルローヤル」

kindleにて。北の女の乾いた情緒!けっこう好きでした。

判例タイムズ1393号 面会交流の審理不尽

東京高裁平成25年7月3日決定 面会交流審判について審理不尽で差し戻した決定です。原審では調査を2度していますが、それでも不十分と。「子の福祉に思いを致し、もう少し慎重かつ丁寧な事件処理が望まれるところである。」という結語のほか、ご紹介して…

堀江貴文「ゼロ」

キンドルペーパーホワイトで初めて読んだのがこれ。脱線ですがキンドルについて。わたしは読書が好きなほうですが、物体としての本にはあんまり執着がなくて、コンテンツとして読めれば十分なんだなってことを再確認。詩集などですら、紙じゃなくても抵抗あ…

シェリル・サンドバーグ「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲」

そうだそうだと思いつつ、しかし成功した女性がこういう当たり前のことを書くことが驚きをもって受け止められるのが現実なんですよね。

桐野夏生「だから荒野」

荒野はどこまで行っても荒野なので足元の荒野を沃野に変えていこうという桐野らしくない?真っ当な主張の健全な物語。連載とずいぶん違うらしくて、連載時のラストを調べたらたしかにそりゃないだろうという乱暴な切り方だったみたい。

秋武憲一「離婚調停」

離婚調停作者: 秋武憲一出版社/メーカー: 日本加除出版発売日: 2013/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るとりあえず、旧版のときに、 一点気になったのは、247頁。養育費債権と破産手続との関係を解説した上で(その内容は別に間違ってない…

飯田真弓「税務署は見ている。」

うちは去年、税務調査がきて無罪放免だったんだけど、あれはなんで来たんだろうな〜。開業10年経ったからなんとなくご訪問ってことがあるんだろうか、それとも何か具体的な怪しまれ要素があったのか、その謎は解明されませんでした。 で、そのあと事務所所…

金融法務事情1978号 最高裁

田原睦夫「講演録 最高裁生活を振り返って」 言いたい放題の内容です。最高裁の様子がよくわかるので読んでおくべき。

「精選女性随筆集 第七巻 白洲正子」

この方の文章にははじめて接したのですが、残念ながらわたしには良さがわからず!

ケース研究316 遺留分

「遺留分減殺調停事件の審理に関する若干の考察」 「遺留分の問題を抱える遺産分割調停を進めるに当たっての留意点」

渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫)」

文庫化で加筆があるというので再読。やっぱりこのひとすごいですよね〜。 先月だったか、道新のコラムで、手持ち現金が乏しいと書いてあって、こんな仕事のしかたならそりゃそうだろと思って、カンパ口座かなんか無いのかと著者サイトを見るまでしたのですが…

伊坂幸太郎「死神の浮力」

いつもどおりよりもっと特別におもしろかったです! なにを述べようと陳腐になるので、以上。

ハリエット・アン・ジェイコブズ「ある奴隷少女に起こった出来事」

ただ珍しい話しというだけで読み物としてはたいしたことないのでは、という先入観で読まずにいたのですが、とあるレビューであらためて興味がわき読んでみたら、スゴイとしかいいようのない本。必読です。

いとうせいこう「想像ラジオ」

http://www.kawade.co.jp/souzouradio/talk01.html この対談の冒頭にある因果関係への抵抗感は、保坂も「カフカ式」で何度か書いてたのと同じことだと思った。そういう「ので」式を崩したところから出てくる文章。

朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」

19歳でコレを書いたっていうのが着目ポイントなのかな。ちょっとライトで私にはつらかった。 一人称ものだと、内省しないタイプのキャラクターでもこんな内省してるんだろか、という違和感がぬぐえない。

「精選女性随筆集 第十一巻 向田邦子」

うまいなあと思いつつ、技が鼻につく感じもあったり。

「精選女性随筆集 第六巻 宇野千代 大庭みな子」

大庭みな子は、主義主張部分は「この時代にこれを」という感慨はあるとしても、そういう目で読まなければフツウの内容よね…。宇野千代は…良い!もっと読みたいです。

保坂和志「カフカ式練習帳」

飛躍、残響、可能態、試行錯誤。 読んでて興奮して歩き回りたくなるくらいの文章の力づよさと、それとは別次元で思念の固まりが脳に直接くる感じ。 死んだら終わりなはずがない、ということをこの人は看取ってきた何匹もの猫を通じて考えて、それでここまで…

判例時報2182号 婚約中の不貞

佐賀地裁平成25年2月14日判決 婚約期間中の夫の不貞を知って離婚した妻から夫への慰謝料等請求を認めた裁判例です。婚約時点については争いがあり、夫側は結納時点を主張したものの、両親の承諾を得て結婚式場の予約をした時点と認定。新婚生活のために…

武田百合子「犬が星見た―ロシア旅行」

活字が小さすぎて読みたいのに読まないでいたのですが、随筆全集で武田百合子熱がついてしまって。こんなの読んでしまうと、そこらの女性作家のちょっとしたエッセイが読めなくなってしまう。

保坂和志「考える練習」

「カフカ」はまだ読み終われないでいるのですが、こちらは出張に連れ出したので一回で読み切ってしまいました。というか、「カフカ」や「鳥魚」などきちんと刻んでくれた文章と、しゃべりを編集者がまとめたものとは、文章の迫力が違いすぎるのです。 あと、…

判例時報2179号 オーバーローン不動産と財産分与

東京地裁平成24年12月27日判決 財産分与を含む離婚判決が確定したものの、元夫単独名義の自宅不動産はオーバーローンのため財産分与額の計算の対象外となっていたケースで、元妻が依然その不動産に居住していることから、元夫が元妻に建物明渡を求めた…

江國香織「はだかんぼうたち」

これもけっこう好き。 地デジ、節電、ギリシャ危機などの時代背景がしっかり指定されてるのが珍しいなって思いました。

「精選女性随筆集 第五巻 武田百合子」

武田百合子、好きだなあ〜って思いながらじんわり読んでました。

江國香織「ちょうちんそで」

これ、けっこう好きでした。昔書かれていたオシャレっぽくかっこよく対象に一途な女の人が老境を迎えたらっていうイメージなのかしら… この↓インタビューで語られているように、説明しない部分のさじ加減がちょうどなのが良いです。 http://www.shinchosha.c…

判例時報2177号 面会交流ドグマ

梶村太市「親子の面会交流原則的実施論の課題と展望」 面会交流がドグマ化している現状への警鐘です。このことをより詳論した本「親子の面会交流調停と審判の課題と展望」が秋に出るそうです。

村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

春樹くささが、特に会話文で、いつもよりも気になりました。久しぶりに読んだからかなあ。 想念と現実とがコネクトすることの表現は「1Q84」と共通する感じ。 死のトークン、論理の「跳躍」のくだりでは、「テルトゥリアヌスの逆説(不合理なるがゆえに…