弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

家庭裁判月報第61巻第2号 これも青い鳥?+有責者の婚費

・名古屋高裁平成20年4月8日決定 夫から妻に対する離婚請求を認容した原判決を取り消し、請求を棄却した(離婚を認めなかった)高裁判決です。妻のうつ病が治癒し、あるいは妻の病状についての夫の理解が深まれば婚姻関係が改善することも期待できるので…

判例タイムズ1285号 第三者申立の子の監護事件

野田愛子「祖父母その他の第三者の監護権について」 東京高裁平成20年1月30日決定について。高裁レベルの判断として不適法(東京高裁平成20年、仙台高裁平成12年)、適法(大阪高裁平成16年、福岡高裁平成14年)があることに触れつつ、諸外国の…

判例タイムズ1284号 第三者申立の子の監護事件

二宮周平「子の監護者の指定審判に対する抗告事件 東京高決平20.1.30家月60巻8号59頁」 家月に載らなかった原審決定からわかる本件の具体的事情や、本件後の結末が紹介されているので、本件決定について考えるときには参照したらよいでしょう。…

美達大和「人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白」

刊行を知ったとき刑務所ものとして興味を抱いたものの、いかにもな胸悪くなるような本ではないかと敬遠していたのですが、先に読んだ人から勧められて読んでみました。スルーしなくてよかったです。業界の人はぜひ読むといいと思います。 弁護人や編集者のコ…

女性弁護士考

・「威厳の技術」でこの部分↓が引用されていたことからの着想で、女性弁護士としての生き方についてかねて思っていることを言います。 ・「君主にとっては、愛されるのと怖れられるのとどちらが望ましいであろうか。当然のことながら、ほとんどすべての君主…

田中和彦「威厳の技術上司編」

人を束ねる場面での心構えに、非常に参考になります。最初の方のマキアヴェッリ「君主論」からの言及もまったくそのとおりと思うし、ちかごろ私の中ではやっている言葉「木の癖組みは工人たちの心組み(←宮大工の口伝)」「退かぬ媚びぬ省みぬ(←???)」…

半藤一利,保阪正康「「昭和」を点検する」

またまた昭和もの。ご当人達も自覚されてるように同じ話しばかりになりがちなこのお二人の昭和話を、キーワードでしばって切り口を変える工夫が活きています。歴史の当事者が他界したり、資料が最近公開されたりまだ眠っている資料もあったりなどなど、昭和…

井口武夫「開戦神話―対米通告はなぜ遅れたのか」

また昭和もの。対米通告とルーズベルト親電の前後関係、親電の上奏を故意に遅らせた不忠のふるまいが、結果的に天皇の戦争責任を回避させる忠義となった?という歴史の皮肉など、おもしろいです。

西岡常一「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美」

宮大工ものその4。はまってます…。法隆寺に行って柱を見比べたりしたいです!

調停考・説得考

・調停などの場で、手続主宰者から当事者に、ある理念(たとえば。子供には母親が必要、だから親権者は母親に…/子供には父親も必要、だから面接交渉を…など)を説いたときに、当事者が「わかりました」と言ったとして、それはたいてい、その理念を「心から…