弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

家庭裁判月報第64巻第8号

・東京高裁平成24年1月12日決定 子の面会交流について間接強制をみとめた原決定を維持した抗告審決定です。不履行1回につき8万円です。子が会いたくないという意向を示しているものの、監護者である父が家裁の判断を尊重して子を指導すれば債務を履行…

判例時報2153号 転倒事故

東京地裁平成24年3月28日判決 介護施設での転倒事故で施設側の債務不履行責任を認めた判決です。施設側の当為として原告は個々具体的に主張していますが、裁判所の認定はかなり抽象的です。 「被告は、入所利用契約上、原告の動静への見守りを尽くすな…

判例時報2152号 子の引渡、監護者指定

東京高裁平成24年6月6日決定 審判前の仮処分で母への引き渡しを命じたことにもとづく子の引渡の直接強制が、9歳の子の反対で執行不能となっているケースです(5歳の子についても、兄弟不分離を考慮してあわせて執行不能)。そうであっても、母を監護者…

判例タイムズ1373号 専門委員

「座談会 専門委員の活用について」 鈴木先生のキャラクターに主に由来するのか?予定調和ではないやりとりが目立つ座談会でした。 鈴木先生のご発言。 座談会等をみても裁判所選任の鑑定人は中立・公正なとおっしゃるのですけれども、中立・公正さの判断基…

論究ジュリスト2012年夏号 家事事件手続法

「研究会 家事事件手続法」 「裁判の結果により直接の影響を受ける者」の具体的あてはめについて。 子のする利害関係参加の扱いについて。親の一方と同じ弁護士をつけて参加を申し出てきた場合の扱い。

自由と正義2012年8月号 管財実務

「倒産事案における不動産処分の注意点」 「破産と相殺」手形取引をするなら信金・信組とするのが得策と。

判例時報2151号 保険医取消と国賠

東京地裁平成24年1月10日判決 診療報酬の不正請求によって歯科医師が保険医登録を取り消されたものの、同処分の取消判決が確定したことについて、国に賠償責任が認められた裁判例です。「誰にとっても明らかな立証責任の所在や、一般経験則に基づく事実…

判例タイムズ1372号 不奏功の可能性と高度の蓋然性、婚姻費用と故意の条件成就

・大阪地裁平成23年2月18日判決 核黄疸に対する光線療法開始の遅れで医療側の責任が認められた裁判例です。光線療法を適切に実施しても奏功しない場合があるという被告の反論を退けて、結果回避の高度の蓋然性を認めています。 ・名古屋家裁岡崎支部平…

伊坂幸太郎「夜の国のクーパー」

これは好きでした。カラクリ?は、「自分を抑えられなくなる」のあたりで、そうじゃないかなと気付きました。異世界に行って帰ってくる感じがなんとなくナルニアを思い出させたり、鉱山で強制労働のところでゲド戦記が浮かんだり。

渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ」

「北の無人駅」の著者です。名高い本で今さらですが、実にすごい本です。著書が全2冊でコレとアレって、こんなに手をかけてこんなに読みごたえのある作品を読ませてくださるのは本当に素晴らしいのですが、どうやって生計立ててらっしゃるのか、心配になっ…

道尾秀介「光」

よくできたつくりものを読みたい気持ちで読んだのですが(この著者は初のはず)、うーん…、とくに思うことはないです。 こういうのが読みたいひとは「天の園」を読めば良いのです。