弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

判例時報1914号 第三債務者への送達と支払

東京高裁平成15年10月22日判決 第三債務者が、先日付で銀行の送金手続をした後、債権仮差押命令の送達を受け、送達後に送金が実施された場合であっても、債務の消滅を仮差押債権者に対抗できるとされた事例です。対抗できない、とした原判決を取り消し…

二弁フロンティア2006年3月号 ポジティブアクション

「ポジティブ・アクションについて考える」 いま、二弁は女性会長で、大規模弁護士会では初のこと。というわけで(?)、二弁では、女性に対するポジティブ・アクションとして、女性副会長枠を設けるとか、常議員に女性枠を設けるという議論があるようです。…

判例タイムズ1197号 交通事故訴訟における虚構性と精緻性

「交通損害賠償訴訟における虚構性と精緻性」大阪地方裁判所判事大島眞一 被害者側としては、既払金を遅延損害金に充当すべしと主張することがありますが、その妥当性についてや、事故時の洋服代などのように金額も低く細かい請求についての態度など。 人身…

斎藤綾子「ハッスル、ハッスル、大フィーバー!!」幻冬舎

パチンコが生き甲斐のポルノ作家が墓を買う?!というおはなし。 読み始めたときは、身辺雑記を書き散らしたようなものなのかなと残念に思いましたが、そういう見せかけをもちながら、しかし、ちゃんと書いてくれています。 終盤、後進の官能作家と対峙する…

林文子「一生懸命って素敵なこと」草思社

現ダイエー会長の著者がその生き方、仕事術を明かしたもの。高卒OLがいかにして現在の地位を獲得したか、と。 こういう方がこうやって、人生を書いて読ませてくれるというのはありがたいことです。

判例タイムズ1196号 セクハラ認容例

・福岡地裁平成17年3月31日判決 薬局の男性経営者が女性事務員に肉体関係を迫る等のセクハラをし、あげくに解雇した事案です。 これまでの裁判例と比較すると、行為態様のわりに認容額が高く(500万+60万)、また、これは金額的には一部認容なの…

判例時報1913号 見落とし認容・鑑定を排斥

・新潟地裁平成17年2月25日判決 平成13年当時36歳の患者がウイルス性髄膜脳炎で死亡したことについて、診断・治療遅れの過失を認めた事例です。 頭痛、発熱による外来通いを続け3日目で入院、項部硬直、ルンバールで異常値。入院4日目で排尿困難…

ジュリスト1306号 不動産・破産

・「不動産をめぐる権利関係の裁判所による決定(下)」 今回は、法定地上権、共有物分割、囲繞地通行権と、またマニアックなところを。 不動産関係では、裁判所が当事者間の法律関係を形成しなければならない場面が色々とあるわけですが、その手続としては…

梨木香歩「沼地のある森を抜けて」

「沼の人」というと泥足にがえもんを思い出しますが、そういうお話ではありません。 「ぬか漬け」というと、リリー・フランキーの「東京タワー」だったと思いますが、ぬか漬けの朝食のシーンがあって、おいしそうでした。 この方のは、「西の魔女が死んだ」…

判例時報1912号 内縁と遺族年金

・東京高裁平成17年5月31日判決 厚生年金の被保険者と内縁関係にあった者が、被保険者と近親婚の関係にある場合は、遺族厚生年金の受給資格を有しないとされました。 受給資格を認めた一審判決を判時で読んだのを覚えていますが、高裁で取り消されたも…

ジュリスト1305号 不動産非訟

「不動産をめぐる権利関係の裁判所による決定(上)」 あまり考えたことのない切り口の対談で興味深く読めました。 借地非訟に事件がかかっているときに、借地権の存否の問題が持ち出されると、存否の問題は非訟で扱えず、別立てで訴訟をしなくてはならない……

葉玉匡美編著「新・会社法100問」ダイヤモンド社

昔にお勉強した商法がどうにかなってしまって、資本とかいろいろ変わってしまった、どう変わったのか何となくわかったつもりでも、たとえば「資本の三原則」等の理論的な説明は一体どうなってるのか・・・? というところで、新会社法で司法試験等の過去問を…

判例タイムズ1195号 瀬木論文

瀬木比呂志「裁判官とそのあり方」 いつもより長い大論文、読み応えがあります。 裁判官等のメンタルヘルスについても触れられています。 法律家には誇り高い人が多いためか、悩みを悩みとして自覚し、他人に明かすというのが特に難しいのですが、瀬木さんが…

伊坂幸太郎「砂漠」

読んでいて心地よく、非常に満足です。 「魔王」では宮沢賢治でしたが、「砂漠」ではサン・テグジュペリです。たしかに、サン・テグジュペリというと、「夜間飛行」だったか…、郵便飛行機が不時着した砂漠の描写を思い出します。 西嶋みたいな人って、このご…