弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

判例時報1948号 調停論

高野耕一「調停再考」 調停に関わる人は読むべきと思います。 ところで、調停論って比喩が多いような気がします。ここでも「螺旋構造」とか「パンやのあるじ」「川土手の見張り人」などなど。

佐々木丸美「雪の断章」

紆余曲折の末に復刊ドットコムで復刊成った一冊。著者の作品全部が絶版だったのを全部復刊で、全18冊、順次刊行予定の第一冊目。 「雪の断章」は文庫本が本棚のどこかにあるはずなのですが、18冊のうち唯一未読の「榛家の伝説」まで無事に刊行されること…

「中谷宇吉郎随筆集」

しばらく前に、旭川の平松先生のペットボトルで雪の結晶を作る実験に参加させていただいて、そのときに中谷宇吉郎の随筆のお話しをされていたのが印象に残っていました。 年末年始、休みボケが続いて重たい本が読めずにこれを読み始めたところ、何かたゆまぬ…

判例タイムズ1223号 私用メールで解雇、補修後の損害の評価

・福岡高裁平成17年9月14日判決 勤務先のPCで出会系サイト、私用メールをしていた教員への懲戒解雇を認めたもの(解雇権の濫用とした原判決を取消)。 ・福岡高裁平成18年3月9日判決 新築直後に外壁タイル剥落等で大規模補修工事を経たマンション…

ジュリスト1326号 よその弁護士と結婚した事務員を解雇

・名古屋高裁平成17年2月23日判決 他の事務所の弁護士と結婚することになりつつ継続勤務を希望したのに解雇された法律事務所事務員が、違法な解雇であるとして賃金相当額と慰謝料を請求した事案。原審は合意解約と認定して請求棄却。 対して本判決は、…

スコット・フィッツジェラルド(村上春樹訳)「グレート・ギャツビー」

村上春樹が人生で最も大切とまでいうほどの良さまでは正直なところわからなかったのですが、それでもたいへんおもしろい読みものでした。 文章は春樹節だし、物語自体も春樹っぽいんですよね。この物語の存在・内容について全く白紙だったので、村上春樹の新…

講演感想

持ち込まれた紛争に妥当な解決を与えようという積極的な姿勢を、志を感じ、とても心強く思いました。 多くの裁判官には、ただ座ってて目の前に出される主張立証が俺様のお眼鏡に適うかどうか冷めた目で見て、うまいまずいだけ言ってる姿勢があるんじゃないか…

判例時報1947号 医療事件の慰謝料額

・東京地裁平成18年7月26日判決 医療事故の慰謝料を、交通事故等の通常の慰謝料より高額に認定したものです。 医療事故は、交通事故と違って、患者と医師の間の契約、患者の医師に対する信頼が存在し、患者にとっては損害発生自体の精神的苦痛のほか信…

岩田隆信「医者が末期がん患者になってわかったこと」

ISBN:4043479018:image:small gliobrastomaについて調べもの中に、同病にかかった脳外科医の闘病記である本書が引っかかってきたので読んでみました。 脳外科医としてまさにその専門とするところの悪性脳腫瘍にかかり、hopelessなものであることを分かりなが…