弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

判例時報1911号 管財人に対する不法行為

・東京地判平成16年9月29日判決 破産会社の幹部が、破産会社が破産の申立をすることを知りながら、破産会社の預金口座から預金を引き出したことが、破産管財人との関係において不法行為に該当する、と。 「これが破産管財人である原告との関係において…

家庭裁判月報第58巻第1号 家事事件概況

「家庭裁判所事件の概況」 抗告審での取消率は、乙類で26.1%もあるのですね。 4分の1超が取り消されうると考えると、原審で諦めず抗告してみようと思ってしまいます。 抗告審、結論出るまで時間かかるんですけどね…。昨夏に抗告して、この間3回くら…

辺見じゅん「男たちの大和」

映画を見たので、原作を読んでみました。こんなことが、たった60年前のことなのですね。 以前、ある経営者の方の債務一覧表をつくる作業中、「ここに挙げたものが全てですか? 借りたものでも何でも、支払わなきゃならないものは他にありませんか?」とた…

判例タイムズ1194号 医事訴訟@大坂

「医事鑑定大阪高裁ネットワーク発足一年半を振り返って」 以前、大阪の先生から少しお聞きしたことがありますが、大阪では鑑定人選任システムに弁護士(←当該事案の代理人ということではなく)が組み込まれていないのですね? これを読む限りでも、裁判所と…

判例時報1910号 裁判官懇話会

「司法制度改革と裁判官」 全国裁判官懇話会というのの報告の3回目。今回は、裁判官の任命・人事制度について。 自分に対する人事評価が人並以下だと長年感じていて、評価書の開示を受け不服申立をしたが…、という現職裁判官の会場発言。「かかる処遇は私の…

山中敬一編「法に生きる 法曹を志す諸君へ」成文堂

「検事総長・日弁連会長・高裁長官等の高名な実務経験者による貴重な体験談」ということで、元裁判官の対談と、体験談9編が収められています。 立派な先生方の体験談はたいへん興味深いものです。 ただ、カバーにある「法曹を志す若い皆様」のためには、語…

姫野カオルコ「蕎麦屋の恋」「サイケ」

しばらく前に姫野さんを一気買いしました。どちらも短編集。 「サイケ」に収められた「オー、モーレツ!」等の小学生時代の描写は、「ツ、イ、ラ、ク」のそれに通じます。 「蕎麦屋の恋」に収められた「魚のスープ」は、いつもの姫野さん式の主人公が脇にしりぞ…

伊藤文夫ら編「医療事故紛争の予防・対応の実務」新日本法規

医療従事者向けの書です。 「相当程度の可能性」の平成12年最判については、同最判自体が「医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども…」と述べていることから、この判旨は、「死亡」結果との因果関係を問題とする従来の因果関係…

藤田康幸「医療事故対処マニュアル」現代人文社

患者及び患者側弁護士向けの書です。 2000年発行のものですが、この道の基本文献のうち本書を揃えていなかったのに気付いたので、おそまきながら購入し目を通しました。

太田勝造ら編著「ロースクール交渉学」白桃書房

6名の実務家による交渉教育のための教科書です。演習問題というか、議論用の素材も盛り込まれています。 「あとがき:本書のなりたち」によると、この著者らの集まりは、この教科書を作る目的に始まったものではなく、交渉についての私的な研究会、アウトプ…

村上政博「法律家のためのキャリア論」PHP新書

弁護士8年→役人7年→学者15年というキャリアの著者によるもの。 前半は、弁護士、役人、学者、渉外弁護士、裁判官、企業法務担当者がそれぞれ現状どういうものか。これら職種のイメージが無い方のためには良く説明されていると思います。 後半は、弁護士…

判例タイムズ1192号 不貞慰謝料など

「鼎談、民法学の新潮流と民事実務」 ダブル加藤先生の鼎談。加藤雅信先生の素敵なネクタイはどこのものなのでしょう? 「民事訴訟実務と制度の焦点」 瀬木判事の連載。 不貞慰謝料請求訴訟の問題性について論じられているところ、うなずきつつ読みました。 …