弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」

[asin:4104596043:image:small] 毎日更新してるとヒマ人と思われるなどとよけいな心配もしますが、私は読むのが早いため新書のたぐいや味わうまでもないと思った小説などは心ない早さで就寝前のひとときに1冊読んでしまうので、そうヒマにすごしているわけ…

判例タイムズ1316号 交通事故算定基準

中西茂(東京地方裁判所判事)「ブックレビュー 大阪地裁民事交通訴訟研究会編著「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」」 大阪地裁の交通部がつくった本についての東京地裁の交通部部長によるブックレビューなわけで、被レビュー文献とあわせて要チェ…

江國香織「真昼なのに昏い部屋」

「意思が弱かったり自分の感情を自覚できない人が流れに流されて不合理なことをするさまや心理を不思議風味に描く」類型の小説は苦手と前に山田詠美の短編集のときに書きましたが、これもそんな感じ。読了後に新聞広告の煽り文句をみて微妙な気持ちになった…

東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会「弁護士専門研修講座 倒産法の実務」

運用の違いに東京はそうなんだ〜と驚くこともありますが、地方でも参考になります。どうも、破産申立代理人による従業員の解雇については、従来言われていることと異なり、一律に解雇ありきで考えない方向になってきているようです。私も、代理人が解雇して…

竹内政明「名文どろぼう」

家にあったので。文章術の本かと思ったけど名文を織り込んだエッセイという感じ。文章術ものには「悪文」でちょっと懲りていたため読むつもりはなかったのですが、最初の方で、「働く」とはハタ(周囲)を楽にすることという陳腐な説教をされたときの切り返…

壇一雄「壇流クッキング」

ライトな読みものを求めて今度はこっち方面。壇一雄が自殺しないで長らえたのは料理をしてたからだ(食のよろこびというか生命力というか)みたいなことを前に誰かが書いていたと思うんだけど、それがうなずける感じ。料理法として取り入れられそうな要素は…

姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」

「誰もが知っている「シンデレラ」の物語。その物語をテーマに文章を書こうとしていた私が紹介された一人の人物――倉島泉。複数の関係者から話を聞いた私は、彼女に興味を持つ。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは? 本当の幸福を知りたい人に贈…

沢木耕太郎「深夜特急」

自分に酔った男調の文章ではないかとばかり思ってこれまで読まずにいましたが、そうではないと教えてもらって読んでみたら本当にそうではなかったので意外。自分はこういうことしたいと思わないし、したいような人と親密になることもないだろうと思うけど、…

吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

頭休めになるライトな本をと思って買ってきたなかのひとつ。うん・・・こういうのだろうと思っていたけど、やっぱりこういうのだった。なんというか、いまどきの若手の作家の人の字が大きめの小説って、こういうモラトリアムな感じというか、ゆるい感じのば…

桐野夏生「ナニカアル」

このごろのほかの本ほどにすごく好きとまではならなかったですが、よかったです。林芙美子と斉藤の関係が、「IN」のタマキと青司の関係みたいで、男のこういうダメでダメでダメなところを告発調でなく被害者ぽくなくまざまざと書いてくれるのがいい。斉藤…

小林正啓「こんな日弁連に誰がした?」

猪野先生ブログの記事を見たひとがさっそく買って一気読みして感心してたので私も続けて一気読み。おもしろかったです。個人的には、このごろ読んでた戦争ものに通じる何か(理念先行で現実を見ずに敗れ去る・・)を感じました。猪野先生の書かれているとお…