弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ケース研究352号 人事訴訟、家事調停

◯片岡顕一「離婚訴訟の審理の実情と留意点」

・不貞行為を行った側が婚姻関係を維持するために努力することもなく、主観的に破綻していると主張しているにすぎないケースが少なくない。

・DV。夫婦喧嘩として双方の責めに帰し得る域を超えて、その暴行が一方的なものにまで至ったといえるかどうか。夫婦喧嘩が双方とも軽度の身体的な接触を伴うような性質であったり、夫が負傷する日があれば、妻が負傷する日もあったというような夫婦喧嘩の状況であれば、暴行が婚姻破綻を至らしめたとは評価していないことが多い

・モラハラ。モラルハラスメントを理由とする慰謝料請求が認容されるケースはほとんど見当たらない

・有責配偶者。別居期間が10年を超えていれば年齢、同居期間と対比することなく相当の長期間と判断。同居期間が10年未満では、同居と同程度の別居が一つのメルクマール

・財産分与。基準日、資料、調査嘱託、特有財産(住宅ローンの残債ある場合の計算)

・隠し財産の主張。裁判所としては、家計状況や夫婦としての資産形成につき関心がなかったこと自体に問題があったと指摘せざるを得ず。

・不貞慰謝料。不貞行為を原因として離婚したケースの慰謝額を分析すると、主に150~200万円の相場であるため、不貞慰謝料についてはこれを下回るべきものとなろう。

◯片岡武「調停運営上の留意点(調停委員として求められているもの)」

調停委員がやってはいけないこと7点。反応の速さは諸刃の剣。