弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

銀色夏生「ばらとおむつ」

最近、銀色夏生+イカで検索してくる人が多いですがどうしてでしょう。 新刊はけっこうボリュームがあって、移動中にぶっつづけで読んで、読むのが超早い私でも4時間近くかかりました。 普通におもしろかったです。イカさんのことも少し出てきますよ。むー…

長嶺超輝「裁判官の爆笑お言葉集」

説諭などでの印象的な言葉を紹介するものです。 内容はそんなにふざけていないので、タイトルの「爆笑」は余計だと思います。 あと、コラムで、裁判官が自分のことを「裁判所」と呼ぶ、というくだり、「建物としての裁判所」だけを念頭に書かれているのは、…

ジュリスト1333号 建物性

「不動産法セミナー第22回 不動産とは何か(2)」 ガスタンク、牧草サイロ、お寺の山門、灯台、などなど。建物かどうか、クイズになりそうです。観音像は建物で、大仏は建物でないとか…?

井手壮平「サラ金崩壊―グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争」

プロパガンダ的なものだったりしてしょうもないものではないかと不安だったのですが、全くそんなことはなく、すごくホットなトピックにもかかわらずたいへん行き届いたよく出来た本です。 このたびの最判→法改正の流れは大きな動きでしたが、その裏の利害の…

ジュリスト1331号 労働審判/建物性

「座談会 労働審判制度1年」 1年経過での実態がわかりやすくまとまってます。座談会でさっと読めるので読んどくといいでしょう。「不動産法セミナー第21回 不動産とは何か(1)」 いきなり基本に戻って、不動産の定義です。まずは建物から。 駅のプラッ…

判例タイムズ1230号 和解論

・草野芳郎講演 和解と交渉 「和解技術論」「ロースクール交渉学(共著)」の人です。和解技術のエッセンスがまとまっていて読む価値ありです。

山田昌弘「迷走する家族 戦後家族モデルの形成と解体」

「希望格差社会」の人のちょっと前のもの。基本的に同じ主張ですが、特に家族について、統計などから詳しく論じられています。 知れば知るほど楽観できない状況ですが、まずは現状認識が必要なわけで、こちらも読んでおくべきでしょう。

横田増生「潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場」

アマゾンのレビューでは、たいして影が書かれてないというのもありましたが、センセーショナルな目立った影でなくても、この労働形態こそが影だと思います。 搾取の上に成っている便利さということを思わざるをえません。 後半、「希望格差社会」への言及が…

三浦光世「青春の傷痕」

光世さんの幼少時にさかのぼった自伝。ご自身の過去をここまで語ってるのははじめて読んだと思います。苦しみに遭うことはさいわい、というところを強調されており、光世さんの人生的にはたしかにそうだと納得です。 大まじめに書いていらっしゃるのでしょう…

ジュリスト1330号 ルンバール事件

共同研究「医療と法の最先端を考える」 ルンバール事件最判を訴訟過程にさかのぼり分析しています。 口頭弁論の終結再開が繰り返されたこととか、鑑定が5パターンもあることには時代を感じます。最判での鑑定意見のつまみ食い的引用が指摘されており、みる…

棚瀬一代「離婚と子ども 心理臨床家の視点から」

離婚と子ども―心理臨床家の視点から 心理臨床家、また、家事調停委員として多くのケースに携わってきた経験から、当事者の心理や援助者としてとるべき態度を分析したものです。 アメリカでは、国家政策として面会交流をすすめているとのことで、親教育プログ…

判例時報1956号 高裁一回結審

最高裁平成18年11月14日判決 出血性ショックで死亡事案について、地裁では輸血の必要性を指摘する医師意見書が出て過失肯定、高裁ではこれを否定する医師意見書が出て過失否定という経過で、最高裁では、高裁が依った意見書の内容を批判し、原審判断を…

津村節子「瑠璃色の石」

吉村昭氏とのなれそめや、まだお二人とも世に出る前の時期を描いた自伝。 学習院文芸部の活動の様子や、三島由紀夫との交流などもおもしろい。 同人活動などの描写で、いろいろ挙がっている人名を見ると、たしかに当時は第一線の作家とみえた人も、たとえば…

判例タイムズ1229号 ねこ裁判

・大阪地裁平成18年9月6日判決 捨てねこの里親が実は同じ手口でねこ数十匹を引き取っており、ちゃんと飼育していないとして、里親募集ボランティア活動の人々が原告となって、ねこの返還と損害賠償を求めた事案で、ねこの引き渡しについては、ねこの特定…