弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2008-01-01から1年間の記事一覧

2008年の10冊

読んでそのままになっていた分について、翌年に持ち越さないため、過去日付でまとめて更新しました。ついでにこの1年に記事にした単行本のなかで忘れがたい10冊を選んでみます。と思ったけど、10冊にはおさまりませんでした。これらのうち小説と昭和も…

判例時報2018号 医薬品副作用救済制度の決定を争う訴訟

・東京地裁平成20年5月22日判決 医薬品副作用被害救済制度の不支給決定を取り消した裁判例です。主に手続方法についての自分用メモとして。

桐野夏生「女神記」

[asin:4048738968:image:small] 東京島を思い出す島の閉塞感と女の生きざま感。すごいです好きです。

鳥集徹「ネットで暴走する医師たち」

これほんとに面白いです。おすすめします。 ちなみに私は日常生活ではたいへんな毒吐きですが、この場ではいつも非常に気をつけています。しかしたまに医療のことを書くと謎のアクセスがあったりして、どこかでさらされたかなと思うときもあります。

いわさきちひろ「ラブレター」

はせべ社長のひみつダイアリーで紹介されていたの(リンク)を読んで、そのことよ、と。

佐野眞一「クラッシュ―風景が倒れる、人が砕ける」

日常と非日常は紙一重のこととあらためて思います。

家庭裁判月報第60巻第12号 子の氏の変更

・札幌高裁平成20年1月11日決定 事実婚の父母間に生まれた子の氏を父の氏に変更する許可申立を却下した原審判を取り消し、氏の変更を認めた決定です。当該子は二人目の子で、最初に生まれた子(4年前)については許可が認められたという経緯があります…

判例時報2017号 説明・説得義務違反

大阪地裁平成19年7月30日判決 次の判示で医師の説明・説得義務を認めた裁判例です。 YがXにC型肝炎ウイルス検査を勧めたところ、Xがこれに従わなかったとしても、人の生命及び健康を管理すべき業務に従事する医師が患者の検査拒否を安易に受け入れ…

家庭裁判月報第60巻第11号 子の引渡と直接強制

遠藤真澄「子の引渡しと直接強制 主に家裁の審判、保全処分と直接強制の在り方について」 2年間3庁計25件の事例紹介と理論的分析。これまでの参考文献もまとめられていて必読です。

判例タイムズ1278号 不貞慰謝料

安西二郎「不貞慰謝料請求事件に関する実務上の諸問題」 論点や参考文献が網羅的にまとまっています。

ドストエフスキー「未成年」

未成年 上巻 (新潮文庫 ト 1-20) 未成年 下巻 (新潮文庫 ト 1-21) ドストエフスキー2つめ。カラマーゾフとは感じが違います。語りが全編、青臭い若者のたわごと調なので、私には読むのが苦痛でした。カラマーゾフのミーチャのことも、訳者解説では純粋で魅…

山田詠美「風味絶佳」

意思が弱かったり自分の感情を自覚できない人が流れに流されて不合理なことをするさまや心理を不思議風味に描くタイプの短編小説の一類型ってあると思うんですが、私はそれ系が好きじゃないんです。短編集ってだいたいそんなのが一つは入ってるからイヤなん…

サーファーズミエロパチー(サーファー・ミエロパチー、Surfer's myelopathy)

サーフィンによる「非外傷性」の脊髄障害のことですが、WEB上に日本語ではほとんど情報が出ていないので、とりあえずインデックスとして記事にしておきます。随時追記してます。 ・先駆的な論文 「Surfer's myelopathy」(リンク切れてる場合、PubMedでこ…

立石敏雄「笑う食卓」

ペンの連載を楽しみにしていたので、こんなにまとめて読めるのが嬉しくチビチビ読みました。いい暮らしです。

判例タイムズ1276号 面接交渉の間接強制

大阪高裁平成19年6月7日決定 面接交渉の間接強制を命じた原審判を維持した決定例です(参照:間接強制を認めなかった高裁決定) 追記:質問がいくつかあったので…。もとの調停条項は「申立人は、相手方に対し、相手方が未成年者と毎週1回10時間程度、…

長谷川幸洋「官僚との死闘七〇〇日」

「官邸崩壊」と同じ出来事を語っているとは思えないほど描かれ方が違います。官僚や政治家の悪いかけひきの具体例がいろいろ出ているのがおもしろい。

川田悦子「龍平とともに」川田龍平「日本に生きるということ」

B肝の集会に川田氏が講演でみえたときに販売した本を自分でも買ってみました。薬害エイズ訴訟での弁護団とのやりとりが緊張感あり、いろいろと考えさせられます。

判例タイムズ1275号 明治における執行倒産

園尾隆司「明治期における民事執行・倒産手続(上)」 業務に関係なさそうなので読み飛ばそうかと思いつつ、つい目が引きつけられて読んでしまいました。江戸時代の裁判は判例法主義で民刑手続同一の原則とか、おもしろいです。(下)も楽しみ。

岩澤倫彦「薬害C型肝炎女たちの闘い―国が屈伏した日」

下書き放出3。 B型肝炎は最高裁で勝ったのになぜ解決できなかったのかがほんと残念ですが、がんばらなくてはと思います。

川上弘美「風花」

下書き放出2。これはあまりに普通すぎて何も思わなかった。この人のは当たり外れが激しいなあ…

保坂和志「カンバセイション・ピース」

下書きが溜まってるので放出1。 途中まで読んでは放置して冬になって、この本は夏に読みたい感じなので夏にまたはじめから読み返してというのを3年くらい!繰り返して、ようやく読み終わりました。あわただしい気持ちのときには読めない本なので放置しがち…

加藤幸子「心ヲナクセ体ヲ残セ」

読み切らなかった本についてはこれまで書いたことはなかったのですが、自分のための記録、教訓として書いておきます。「野鳥愛好家として知られる著者が鳥と人間を同位置で観察し、生きものの心と体の有りようを鋭敏に、ユーモラスに描き出した新機軸の傑作…

津島美知子「回想の太宰治」

妻であるこの人もただ者ではなかったのだとわかります。津軽の家でお経を唱和して感心な嫁だと褒められたけど、娯楽のない田舎でコーラス気分で声を出していただけとか、宮尾登美子自伝みたいなとぼけた愉快なかんじもあり、また、戦中のとぼしい時代から戦…

伊坂幸太郎「モダンタイムス」

「魔王」の続編、一気に読みました。よかった!! 作中の伊坂の言葉、読んだ人に何かが沁みるような小説というように、おもしろいだけでなく残るものがあるのが良いです。一隅を照らす、という言葉は使われていないですが、そういう着地点。

江國香織「左岸」

またもや空港の書店で本をさがすはめになって…これを。このときは○○なことが起きるとは夢にも思わなかった、みたいな思わせぶりな引き方が頻出するのが、こういう人だっけと違和感ありつつ、しかし全体的に楽しく読めました。オシャレさと毒気は控えめ、不思…

丸田祥三「廃電車レクイエム―昭和の空地にあった不思議なのりもの」「廃車幻想―ポンコツ車からみえた「昭和」」

なんと8歳からこんな写真を撮りためてきたとはあまりに早熟。廃墟ブームの先駆者となるのも道理です。今では廃墟もある意味で愛でられるようになりましたが、かつては古いものなど懐かしくなく忌まわしくて、それに注目する著者はいやがられたということな…

森重昭「原爆で死んだ米兵秘史」

原爆投下時に米兵捕虜も犠牲になったそうです。よくここまで調べる・・執念を感じます。墜落した米軍飛行機で作ったフライパン?なんかが現存しているのもすごい。記述が前後するのは謎解き風味にしたいんだろうけど、それがうまくいっておらず単にわかりづ…

判例タイムズ1274号 元従業員の情報持ち出し

東京地裁平成19年1月26日 同業他社に転職する従業員が退職時に顧客情報を持ち出し、顧客に勧誘メールを送付した件について、元従業員の不法行為責任と転職先の使用者責任を認めたケースです。訴訟にまでなることは少ないかもしれませんが、こういう相談…

森功「ヤメ検―司法エリートが利欲に転ぶとき」

面白かったのはいいんだけど、インタビューされてるヤメ検が事件のことを語りすぎ。だから脇が甘いって言われるんだよ…。こういう本が面白く成立するには不可欠なことといえ、いつもいつも思うんだけど(この本に限らず)みんな語りすぎです。

銀色夏生「ドバイの砂漠から」

怖いものみたさで…と言い訳しつつ、つい買ってしまいます。今回のは、楽しくなさそうなだけで、毒気は無いので、まあいいかなという感じです。写真は、息子の顔が本当〜に好きなんだな…とわかります。しかし全裸写真はいかがなものか…。あと、引っ越したらし…