弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

判例時報1917号 産科認容例・時効起算点

大阪高裁平成17年9月13日判決 前置胎盤と確定診断されていた妊婦に性器出血がみられたとして在胎31週4日で帝王切開を行って胎児に障害が残ったことについて、適応外の帝王切開、生後の処置ミス、説明義務違反を認めたもの。請求を棄却した原判決を取…

二弁フロンティア2006年4月号 ポジティブアクション

「ポジティブ・アクションについて考える(2)」 先月号についても書きましたが、ひきつづきこの問題。 女性会員へのアンケート結果が紹介されています。回答率が9%とかわいそうな状況ですが… 自分が女性枠で就任を要請されたらどうしますか?との問いに…

ジュリスト1308号 破産と法律行為

「新破産法の基本構造と実務第11回 法律行為に関する倒産手続の効力」 今回も色々論点がありましたが、特に今も気になってる論点として、敷金返還請求権を有する場合の賃料の寄託請求(70条)と、賃料債権に対し物上代位された場合について。 ・賃借人は…

判例時報1916号 小児見落とし認容例

・横浜地裁平成17年9月29日判決 息苦しい等の症状で外来受診した男児の急性喉頭蓋炎を見逃し漫然と帰宅させた医師の責任を認めた事例。 いつもと違うと訴える母親に対して、「大げさ」「お母さんまで神経質」「親子してそっくりだね。大丈夫ですから」…

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

文庫本を移動中に。思いがけず、降りた駅が無人駅で、吹雪の海に面して、タクシーも来ず、困りながら読みました。 「上手い」のひと言で、でもその上手さだけでなく、人が絶望から肯定に転じるようすが力強く書かれているのが素晴らしいです。

海堂尊「チーム・バチスタの栄光」

2005年このミステリーがすごい大賞作品。 「このミス」大賞という帯を見て、去年の「このミス」って、アレだったのでは?と混乱しましたが、「このミス」には既刊本のランキングとコンテストと、それぞれあるようです。こちらはコンテストの方。 現役医…

東京弁護士会法友全期会相続実務研究会「改訂遺産分割実務マニュアル」ぎょうせい

これも拾い読み。 若手弁護士向けのマニュアルということで、いろいろ細かなこと(聞き取りの際はパソコンを使うとあとから整理できて便利、なんてことまで……)も書いてあるので、若手弁護士には良いんじゃないでしょうか。

秋保賢一ら「官民境界確定の実務」新日本法規

項目を拾い読みしただけでちゃんと読んではいませんが… 基礎知識のQ&Aと、問題局面ごとの概説と事例解説です。 官民とありますが、内容はそれに限らず民民の知識も得られます。 こういうのは、必ずしも事件化しませんが、日常の相談ではたまに出てくると…

田中美津「かけがえのない、大したことのない私」インパクト出版会

これも何かの書評をみて、よく知らずに読みはじめました。冒頭特に説明もなく、対談や講演が並んでいるだけなので取っつきづらいのですが、とてもおもしろかった。こういう方が今は鍼灸師ということで、身体感覚を突き詰める方向に行かれたのは、おもしろい…

判例時報1915号 滞納管理費

東京高裁平成17年3月30日判決 管理費滞納のある区分所有建物を競落した者が、支払った滞納管理費を元の所有者に対して求償できるとしたもの。 管理費債務について、元所有者と特定承継人の債務は不真正連帯債務となるが、区分所有法8条の趣旨(集合建…

判例タイムズ1198号 傷害保険

名古屋高裁金沢支部平成13年8月29日判決 トンネル入口に正面衝突した死亡事故に関する傷害保険金の請求について、「急激かつ偶然な外来の事故」の立証不十分として、請求を認めた原判決を取り消し、請求棄却したものです。 解説に「本判決は、間接事実…

家庭裁判月報第58巻第2号 氏の変更

大阪高裁平成17年3月3日決定 氏の変更許可申立却下審判に対する即時抗告事件で、原審を取り消し氏の変更を認めたもの。 ・中国籍の「B」愛蘭(抗告人)は、日本国籍の「A山」太郎と結婚し、長女蘭をもうけ、日本に帰化して夫の戸籍に入籍し「A山」姓…