弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

安田好弘「生きるという権利―麻原彰晃主任弁護人の手記」

これも「刑事弁護の技術と倫理」で引用されていたので。田中森一と続けて読むと振れ幅が大きすぎてわけがわからなくなります。とにかくすごい、異次元にいる人だとわかりました。批判にさらされていますが、そもそも立脚点がまったく違うのだと知れば理解で…

田中森一「反転」

売れてますね。そのとおりとってもおもしろいです。でも守秘義務違反しすぎ。あと、検察での取り調べの実態、検察ってやはりほんとにこうなんでしょうかね? ひどいです。子どものころの参考書詐取のエピソードが、三つ子の魂百まで的な象徴的なものだと思い…

ジュリスト1339号 医賠責保険

太田秀哉「賠償責任保険」 医賠責の種類や沿革について。保険事故の把握に発見ベースと請求ベースと2系統あって保険会社を切り換えるとき要注意なこと、責任の競合による求償問題など。

端和夫「脳の肥やしの脳卒中講義」

脳の肥やしの脳卒中講義 一般向けの脳神経外科の入門書。入院された奥様が読むために書かれたものです。内容は高度ながらわかりやすく良い本です。脳神経外科医としてのプロ意識、矜恃も感じます。

諏訪哲二「オレ様化する子どもたち」

「下流志向」で引用されていたので。「この私」「私そのもの」論はなるほどって感じです。

佐藤優「国家の罠」

「刑事弁護の技術と倫理」で引用されていたので。検事とのやりとり、検事と被疑者の間に育まれた人間関係が微細に書かれています。これは…検事からは、交流するふりして取り込んでやったんだよとでも言うしかないところでしょうが…真に受けるとすれば、敵味…

三浦展、上野千鶴子「消費社会から格差社会へ」

上野千鶴子と「下流社会」の人の対談。上野千鶴子については、理論的な正しさや一貫性のために現実の事象を無視して勢いだけで書いてるのではないかと思われて突っ込みを入れたくモヤモヤすることが多いのですが、あまりお仲間感のない人との対談なのでその…

山田詠美「無銭優雅」

エイミー、昔と違うなって思いました。枯れつつノリのよい文章。完成度高いです。

佐藤博史「刑事弁護の技術と倫理 刑事弁護の心・技・体」

尋問技術などは民事にも通じるものがあり、すぐ使わせてもらおうと思う技がいくつもあります。ああこれねって思われるとイヤなので書きませんけど。必読です。

判例タイムズ1238号 いぬ裁判

東京地裁平成18年11月27日判決 原告の飼い犬と被告の飼い犬がケンカして、ケンカを止めようとした原告が被告の犬に噛まれたという事件。そもそも原告犬がノーリードで、被告犬に吠えかかったのが発端であることが重視され、原告側の過失の方が重くとら…

青木孝「セクシュアルハラスメントをしない、させないための防止マニュアル」

セクハラについての改正均等法の説明や、パワハラについても、経営者や労働者などユーザー向けに広く書かれています。経営者向けにセクハラの講義などすることがありますが、社員のセクハラについて会社が使用者責任を負うという話ですら、意外、びっくり、…

長嶋有「夕子ちゃんの近道」

「泣かない女はいない」を読んだときはてっきり女性の作家だと思っていました。前は古い作家ばかり読んでいたのが、あるときから故人を読むのをやめて生きてる人だけ読むようにして、なおかつ同世代の作家をつとめて探していたのですがなかなかおらず、しか…

笹幸恵「女ひとり玉砕の島を行く」

著者のもどかしさが伝わります。

村上龍「ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界〈2〉」

続編ということで。本編で何回か描写されていた、兵士とかが死ぬ場面でみせる「恥の表情」という表現、意味をわかってなかったのですが、こちらで解説されていてわかりました。